コミュニケーションの変化

――濱さんは、現場で普段ご自分からコミュニケーションを取るほうなんですか?
そう心がけています。こうなれたのは実は割と最近なんです。以前は斜に構えていた……わけではないんですけど(苦笑)、こちらから話しかけないでいたら「どこまで向こうから来てくれるんだろう?」という実験めいた感じでいました。そうしたら、やっぱり話しかけないと何もなしで終わっていくことが多くて。「これではダメだ、1回自分から話してみよう」と思いました。話すとその分いろいろなことが広がっていって、花が咲いていく感じというか。お芝居もやりやすいと僕は思っています。
――いつから今のスタンスになったんですか?
本当に最近……ここ1年くらいです。ありがたいことに、この2~3年でドラマのレギュラーが増えたんですけど、それまではゲスト出演とか短い期間だったので、そこまでコミュニケーションを取るような雰囲気までいけない感じでした。けどレギュラーで作品に入ると、一つの役に準じたポジショニングにいるのが一番やりやすい気が今はしているんです。
――お話しする内容は日常で起きたことや、共演した方の出演作のことなど?
そうです、そうです。作品を見るのが好きなのもあって、共演者の方の作品を何かしら見ているので、その作品の感想を話したり質問したりします。僕、もともとテレビっ子・ドラマっ子なんです。幼少期から10代~20代前半まで、めちゃくちゃ見ていました。『ウォーターボーイズ』とか『ごくせん』とか、次の日学校に行くとみんなでその話をして、みたいな。青春時代に見たものって、ずっと記憶に残っていたりしません!? その思いのまま、共演した人たちに自己満で話すという(笑)。

――現在はご自身がその中の人になっているわけですよね。好きこそものの、という感じもしますか?
ドラマへの興味がこの仕事に入ったきっかけでもありました。ミーハー気分もあり、「ドラマってどんな感じの世界なんだろう?」と気になったんですよね。憧れもありましたし、好きだったから続いているんだと思います。
――こうして俳優業を続けてきて、着実に一歩一歩進んでいる実感は持っていますか?
俳優をはじめて10年が経ったんですけど、振り返ると……意外といろいろなことがあった10年だったなと思います。がむしゃらに役を渇望していた時期も正直あったりしました。
作品を作っている、役を演じている時間が好きなんです。好きなことを仕事にできたからなのか、本当に目の前だけしか見ていなくて。今までは「自分は今後どうなっていくんだろう?」という想像をあまりしてこなかったんですね。
それでも最近、この作品の渉のような5年間結婚生活があって、という役をやらせてもらうようになって、周りにいる友人も家族を持ち始めているなとふと思ったんです。未来を想像したときに、「あ、意外と人生は有限なんだな」と気づきました。だからなのかはわからないですけど、最近ちょっと変化があって

――どのような変化ですか?
僕はもともと物が本当に少ないんですね。必要なのか、いるか、いらないかで考えて自分の手元に置いているので。
それが先日、友達の誕生日だから「何かプレゼントしたいな」と思ってフラフラショッピングしていて。ちっちゃいサボテンみたいなものを見つけて、いいなと思って買ったんです。いつもならそこで終わりだけど、何だか自分にも似たような観葉植物を買おうかなと思いたって。今までは「必要がないから買わない」としていたけど、それじゃあちょっとなと。広く言ってしまえば自分の人生の彩りのために、必要だからじゃなくて「なんかいいかも」と思ったものに手を出すことにしました。無駄を考えないで買うという、そんな変化です(笑)。
――それは大きな変化かもしれないですよね、30代の濱さんはまた一味違いそうですね。
いまだに自分のことがわからないんですよね(笑)。でもわからないままでいいかなと思っています。
濱正悟(はま・しょうご)
1994年8月22日生まれ、東京都出身。2015年デビュー以降、近年では「恋せぬふたり」(NHK)カズくん役や、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(NHK)、連続テレビ小説「舞いあがれ!」(NHK)、「毒恋~毒もすぎれば恋となる~」(TBS)などに出演。Huluオリジナル「おとなになっても」のほか、現在放送中のドラマ「やぶさかではございません」(テレビ東京)、「MADDER その事件、ワタシが犯人です」(カンテレ×FOD)にも出演中。
Huluオリジナル「おとなになっても」
4月26日(土)よりHuluにて独占配信開始(全12話)
出演:山本美月 濱正悟 桐山漣* 河北麻友子 錫木うり 樋口日奈 織田梨沙 野口かおる 田中直樹 麻生祐未 栗山千明
原作:志村貴子『おとなになっても』(講談社「Kiss」所載)
©志村貴子/講談社 ©HJホールディングス
https://www.hulu.jp/static/otonaninattemo/
https://www.hulu.jp/even-though-were-adults/
*桐山漣さんの「漣」のしんにょう点はひとつ
衣装クレジット
ジャケット 381,700円、ニット 136,400円、パンツ 200,200円、シューズ 257,400円/以上、すべてVERSACE(ヴェルサーチェ ジャパン)
問い合わせ先
ヴェルサーチェ ジャパン
https://www.versace.jp/

2025.04.26(土)
文=赤山恭子
撮影=深野未季
ヘアメイク=茂木梨沙
スタイリスト=徳永貴士(SOT)