珍しい“笑顔のティキ”に出合うツアーへ
![島の人は、声をかけるとフレンドリーに返してくれます。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/e/9/1280wm/img_e987a76ef8e869b872ca253edb1c353812692590.jpg)
ガイドの話によると、ヒバオア島には考古学者によって250体のティキが発見されているけれど、その総数は不明だそう。19世紀初頭に宣教師によって破壊されたものや、山の中には今なお900体以上が眠っているのではないかと言われているそうです。
島最大の村があり、神聖な儀式が行われていたというイイポナの遺跡には、大小様々なティキが鎮座しています。
中でも有名なものはフランス領ポリネシアで最大のティキ「タカイイ」。高さは2.57メートル! その妻とされるティキは足を延ばして座っています。
![左がフランス領ポリネシアで最も背が高く、有名なティキ、タカイイ。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/6/1/1280wm/img_613257c3abe57c673104aa7efe6f75c711737908.jpg)
また、うつ伏せになって飛んでいるような通称“フライングティキ”と呼ばれる像も。これは出産している女性だとか。台座には南米に生息するラマのような動物も掘られています。
![マカイイ・タウア・ぺぺ、通称フライングティキ。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/3/2/1280wm/img_32f444862fb63cf0097b716af99405aa11550131.jpg)
ティキはおもに男性で、足は曲げられ、腕を前にしているものが多いそうですが、フランスの考古学者によって復元されたこの遺跡のティキはバラエティ豊かです。
ヒバオア島へ訪れた翌年、イースター島へ来島したのですが、その際目にした900年頃の初期のモアイ像にして、唯一足がある座像のモアイ・トゥク・トゥリは、マルケサス諸島のティキと共通点があるとされています。
イースター島のモアイ・トゥク・トゥリを発見した考古学者は、ここのフライングティキの座像のラマのような彫刻を見て、ポリネシアの祖先が南米からやってきたのでは? と仮説を立てたとか。実際に南米ペルーからイカダで海を渡り、101日間かけてフランス領ポリネシアのツアモツ諸島へ到達したそうです。けれど、残念ながら今は、南米起源説は否定されていますが。
![フライングティキの台座のラマの模様から南米起源説が生まれたそう。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/4/5/1280wm/img_4562c02fed1487120f2a24f62a8e957e12698856.jpg)
イイポナの遺跡はなかなかの遠路ですが、比較的訪れやすいのは、プナエイの谷に佇む“スマイリング・ティキ”。ティキはえてして表情がないのですが、このティキは木々が生い茂る森の中でどこか幸せそうに笑っています。ちなみに、女性だとか。
![妙に愛着が湧く、森の中のスマイリング・ティキ。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/a/7/1280wm/img_a7d3a2a3b4f48a2dc10666a793f6bfef17693144.jpg)
2025.01.25(土)
文・撮影=古関千恵子