丸い窓、石造りの煙突、木製のゴミ箱…童話の世界みたい!
![コムストックスの代表的な存在がレストラン「タック・ボックス」。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/8/7/1280wm/img_87dbaffdad1dcfd5fbec0480812ae1979757535.jpg)
それは37平方メートルほどの広さで、木の瓦屋根に丸みをおびた軒、丸いドアや丸い窓、石造りの煙突がちょこんとのった、まるでドワーフたちが暮らすキノコの家のよう。価格が100ドル以下だったことも手伝って、みるみるうちに彼のコテージは大人気に。
やがて“コムストックス”という、この街のシグネチャー・スタイルとなったのです。現在も当時のコテージが21棟、残っているそうです。
![一軒一軒、意匠を凝らした家ばかり。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/7/6/1280wm/img_76dec213bc4827f44610a51eb7b7b88512628732.jpg)
そのほかにもカーメル・バイ・ザ・シーにはフランク・ロイド・ライトやチャールズ・サムナー・グリーンといった建築家が手掛けた家が残されています。
この街の市長には詩人や作家、俳優など、ユニークな人物が選ばれてきました。1986~1988年には、映画俳優クリント・イーストウッドがこれを務めました。
市長となった稀代の名優はまずネオンサインや派手な看板、信号機のない街づくりを目指しました。道路標識から街角のゴミ箱まで木製で統一。おかげで世俗的なものが目に入らない、より童話的な世界に近づくことに。
![ブティックも、おとぎ話から抜け出たよう。街中のゴミ箱は周囲に溶け込む木製です。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/7/2/1280wm/img_7244dc1e45ce0db6233db50d434119dd13497890.jpg)
また、安全なコミュニティを大切にするため、各戸には番地がありません。住民は街の中心部にある郵便局の私書箱へ自分の郵便物を取りに行くルールです。配達物を取りに行ったついでに住民どうしで会話を交わし、郵便局は街の社交場でもあったわけです。
カーメル・バイ・ザ・シーの街は小さく、メインストリートであるオーシャン・アベニューも、20分も歩けば終わってしまう短さです。そんな小さな街のあちこちに、ワイナリーやギャラリーを見かけます。角を曲がればそこにある、という感じ。
夕暮れ時になると、地元の人がワイナリーのテイスティングルームに集って、わいわい、がやがや。ラブラドールレトリーバーなどの大型犬も住民の輪に加わってリラックスしているもよう。
![「シャイド・ヴィンヤーズ」のテイスティングルーム。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/9/7/1280wm/img_972c07bff7661bbb994161c009cff4b48605952.jpg)
![夕方、仕事を終えた住民たちがテイスティングルームに立ち寄るようです。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/5/3/1280wm/img_53dd19c08478e2b8842b3d807318bf646468485.jpg)
![ご主人様の動きを見つめるワンちゃん。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/f/6/1280wm/img_f6fa099fa62ee3b569502a79ab4a53f97437898.jpg)
2024.12.14(土)
文・撮影=古関千恵子