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坂東さんが思わず「嘘こけ!」と言ってしまった英治の“二面性”とは

髙橋 (劇中の)英治が働くシーンはそこで撮りました。

板東 あのシーンの英治はまんま里恩(笑)。バイト先で、僕に仕事を教えてくれていた里恩を思い出しました。

清水 あそこは英治の社会性が見えるシーンだった。

坂東 そうなんだよね。「嘘こけ!」みたいな。

清水 3人で一緒にいるときの英治とどっちが嘘なの? という見方もできる。

坂東 そういう二面性を表現する描写が3人ともあるね。

髙橋 光則はお母さんの前ではマザコンっぽくなるし、渉は父親と対峙するシーン。

坂東 一人称が2人の前では「俺」なのに、親父の前では「僕」になる。

清水 完成した映画を見て、一緒に撮っていないシーンで「おー!」となりました。自分の知らない2人の一面が映っていて。

3人のなかで、「“間”の魔術師」の称号を得たのは誰?

――清水さんは、坂東さんと髙橋さんと繋がりはありましたか?

清水 今回の『若武者』で初めましてでした。もちろん存在は知っていたけれど。

坂東 初めましての感じが全くなかった。不思議とスッと入ってきて。

清水 僕もなんの違和感もなかった。2人に受け入れてもらえてよかったです。

――幼馴染を演じるために、意識的に心を開いたのでしょうか?

坂東 それも全くないですね。

清水 僕も意識して開いたわけでもなく。

坂東 この『若武者』という脚本を読んだら自ずとこうなるよね、と思います。脚本が3人を繋げてくれました。

髙橋 光則のオーディションで、英治としていろんな人の相手役をやったとき、尚弥くんに一番「何も思わなかった」んです。他の人には「圧が強かった」「ちょっと不気味だった」「狂気を感じた」といった感想があったけど、尚弥くんだけ何も感じなくて。後日監督から「光則役が決まった」と電話が来たときに、すぐに「尚弥くんですか?」と聞いたらやっぱりそうだった。だからすぐに幼馴染になれたんじゃないかなと思います。

――今回共演して、お互いのお芝居のどんなところに魅力を感じましたか?

髙橋 (清水を見ながら)不気味さ。

坂東 生々しい不気味さ。

髙橋 独特なテンポ。

坂東 “間”の魔術師。

清水 人並みじゃない?

髙橋 人並みじゃないんだよねぇ(笑)。

清水 ……それが受け入れてもらえるくらい、自然にアウトプットができていると思うと嬉しいです(笑)。

2024.05.25(土)
文=須永貴子
撮影=榎本麻美