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地元の子どもたちによる作品も展示

 「織物業の街だと知られていない」というもどかしさは、街の人も感じているよう。子供たちにも知ってもらうため、地元の保育園児や小学生が布をテーマに制作してもらうワークショップを行ったそうで、400点余りの作品が飾られていました。

 隣接する機織機の工場跡地は、地上約9メートル、幅約20メートルの巨大な空間。そこにはシカゴを拠点にするネリー・アガシが、山梨県産業技術センターの提供を受けた生地を使用して制作した「mountain wishes come true」が展示されていました。壁から垂れ下がるような巨大な生地に目を奪われます。

 ネリーは山叶の建物を見てさまざまなインスピレーションを受け、建物の歴史と彼女自身の歴史をミックスさせて作品に昇華させたそう。場内に流れている音は、サウンドパートナーのライアンがサンプリングしたもので、工場でサッシを作り上げる際の音や自然界の音など、さまざまな音がミックスされています。

 このほか山叶にはスタジオ ゲオメトル「Changes of the Mountain」、池田杏莉「それぞれのかたりて / 在り続けることへ」も展示。後者は旧山叶で実際に使われていた家具やユニフォーム、富士吉田の人々の古着や私物が繭で覆われた作品です。

2023.12.06(水)
文・写真=岸野恵加