フレッシュかつアグレッシブなお味と雰囲気!

モッツァレラチーズのムースの下は、トマトとハーブとブラッドオレンジをマリネしてコンポートにし、濾してかためたジュレ

 さて、1品目はアジのエスカベッシュ、野菜のピクルス、田舎風パテの盛り合わせ。豚と鴨でつくられた田舎風パテはかつて「ティグレ」で出されていたのと同じく、なめらかなコクのある味わいです(懐かしい!)。エスカベッシュやピクルスの酸味が、食欲を増進します。

 2品目として登場したのは、「モッツァレラチーズのムースと完熟トマトのジュレ」。スプーンで口に運ぶと、モッツァレラのまろやかでミルキーな味わい、トマトとブラッドオレンジの甘酸っぱさ、爽やかなハーブの香りが、舌の上に溶けるように広がります。ブラッドオレンジの皮のほろ苦さをほどよく効かせるあたりが、洒落ています。佐々木シェフの新しいスペシャリテと聞いて納得。次回もまた食べたいデス!

 3品目の「関アジと苺のサラダ」は、ほどよくマリネされた関アジの旨味と苺の甘酸っぱさが調和して、爽やかな印象。お料理に果物を取り入れるのは、シェフのイタリア修業時代の師匠譲りなのでしょう。期待通り! 以前、「南国ならまだ分かるけど、北で果物を使うなんて意外!」と率直な感想をもらしたところ、「北イタリアではリンゴ、洋梨、オレンジ をよく使います。煮込み料理に入れて一緒に煮込んだり マスタード風味のシロップ浸け(モスタルダ)にしたり……果物だけだと甘くなるので、ビネガーを使うことが多いです」と教えていただいたことを思い出しました。

干しダラのニョッキ アサリとサフランのソース

 さて、次はパスタの出番です。干しダラを練り込んだ独創的なニョッキは、サフランとアサリと干しダラの戻し汁のソースで出されました。美味しい! けれど、塩気の濃さがやや日本離れしています。これも北イタリアでの修業時代の影響でしょうか? 現地のお料理は塩が効いていますから。独立なさって、自分の色を出している感じがします。攻めの姿勢が頼もしい。

カンパチの片面焼きリンゴと紫キャベツの煮込み添えバルサミコソース

 5品目はカンパチを片面だけカリッと焼いたもの。バルサミコのソースが、カンパチの旨味を引き立てます。付け合わせはリンゴと紫キャベツの煮込みで、この甘酸っぱさもカンパチとよい相性。やはり佐々木シェフ、果物使いがお上手です。ビタミン豊富で、キレイになれそうですわ!

マグレ鴨のロースト。噛むほどに旨みが広がります

 メインではマグレ鴨のローストの、コクのある味わいを満喫しました。コース全体を通して眺めてみると、動物性脂肪が少なく、量もほどよく、栄養バランスの良さはなかなかです。

デザートの代わりにチーズを所望することもできます。左からブルーチーズとパルミジャーノ、マスタードソース、トースト

 お客さまの年齢層はシェフと同世代の30代半ばが中心で、若々しい雰囲気。ビタミン豊富な本格イタリアンを堪能しつつ、元気がもらえる一軒です。健康に気遣いつつ話題のお店を食べ歩きたい気分のアナタ、いかがですか?

「アルモニコ ARMONICO」
所在地 東京都渋谷区恵比寿西1-14-1 サンライズビル 4階
URL http://armonico-ebisu.com/
電話番号 03-6416-0963
営業時間 18:00~翌3:00(最終入店24:00)
定休日 日曜日+不定休
メニュー コペルト(テーブルチャージ)500円、おまかせコース5800円/8400円(8400円のコースは前日までに要予約) ※21:00以降はアラカルト対応

小松めぐみ (こまつ めぐみ)
東京都生まれ。食い道楽の親の影響で、10代半ばにして料理に目覚める。大学卒業後、出版社勤務を経てフリーランスに。2000年に独立し、主に雑誌で飲食関連の記事を編集している。

Column

小松めぐみの“キレイになれる”レストラン

食べてキレイになれる一皿、見て美意識が刺激される一皿や、そこに行くためにはキレイにしなきゃと思えるレストラン。キレイのモチベーションを高めるお店や料理を、フードライター歴13年の著者がご紹介。

2014.01.14(火)