北岳と南岳、どちらの表情が好き?

 たしかに爆発的な噴火は怖くはありますが、活火山とともに暮らすための先端技術があり、桜島だからこその恩恵もあり、長年の暮らしの工夫もあり、桜島は実に奥が深そう!

 そんな桜島は、錦江湾に浮かび、鹿児島港から桜島フェリーで15~20分。フェリーは24時間運航し、1日100便以上が鹿児島港と桜島港を結んでいます。

 一周約52キロ(外周道路は36キロ)の島に、人口約3,700人が暮らしています。

 桜島のなりたちには、その前に広がる錦江湾の誕生が大きく関わっています。

 約2万9,000年前、今の噴火と比べると数億倍くらいのパワーがある巨大噴火が起こり、マグマが噴き出しました。その量、県全土を平均60メートルの厚さで埋め尽くしたほど。

 大量のマグマが放出されたことで地面が陥没して「姶良(あいら)カルデラ」を形成、そこに海水が流れ込んで錦江湾が誕生。一方、火山噴出物によって南九州一帯にシラス台地ができました。

 その後の約2万6,000年前の噴火で、姶良カルデラの南端に桜島が生まれました。

 桜島の噴火活動は2つの時期に分かれています。約2万6,000年前から約5,000年前が北岳の活動。約4,500年前から現在にいたるまでは、南岳が活動しています。

 実は桜島は北岳と南岳、2つの火山が南北に連なった山容をしています。見る角度によって印象も変わり、地元の人には、ここから眺めるのが一番、と人それぞれお気に入りもあるようです。

2023.10.07(土)
文・撮影=古関千恵子