ミステリー② 「メリーアン」の記憶の残り方が異常

 私がアルフィーをはじめて知ったのは、1983年の曲「メリーアン」。「ザ・ベストテン」に長い期間ランクインし、「いい歌だな、うまい人たちだな」と思っていた。ただ、この年は中森明菜さんの「禁区」、杏里さんの「CAT’S EYE」、H2Oの「想い出がいっぱい」、葛城ユキさんの「ボヘミアン」の印象が強い。

 歌えるのはサビくらいだろう――。ところがさきほど歌ってみたら、1番を、何も見ずにスラスラ歌えた。それだけでなく、桜井さんの「はーりーさけそうー♪」の「う」の部分、アゴに力を入れ「はーりーさけそアー♪」となるモノマネまでできたのである。

 恐ろしい……。あの頃から、すでにアルフィーは私の心に沁みついていたのか。ウォンチュッステイフォーミー!

ミステリー③ 仲が良すぎる

 3人という割り切れない数字。ロックバンドという性質。違いすぎる個性。いつそれぞれが違う主張をして険悪になっても仕方がない。ここまで長年一緒ならなにかしらあったのではないか。

 ところがアルフィーの不仲エピソードが全然出てこない。一つだけ「桜井さんと高見沢さんがつかみ合いのケンカをしたことがある」という件が見つかった。

 音楽性の違いによる諍いなのか……。少し緊張気味に読み進めたら、

「加山雄三のお父さんは誰なのかを巡り、言い争いになった」

 という、まさかの理由であった。子どもかい! 私は静かに記事を閉じた。

2023.09.27(水)
文=田中 稲