「ドラマクラブ」の文化

 麻美・なっち・みーぽんの3人で結成している「ドラマクラブ」の存在も無視できない。90年代に小学生だった世代は、ほとんどの人間がこのドラマクラブ活動をしていたといっても過言ではないのではないか。もれなく筆者も部員だった。

 ドラマクラブとは、当時放送中のドラマについて、ストーリーやキャストなどの良し悪しを星いくつでランク付けし、語り合う放課後クラブのこと。交換日記の文化が派生してドラマクラブに落ち着くパターンが多い。ちなみに、本編2話では観月ありさ主演「ナースのお仕事」がプッシュされていた。

 そのほか、麻美がテレビ局で働き出す人生3周目においては、北川景子主演「家売るオンナ」、杏主演「花咲舞が黙ってない」などのドラマが登場。仲村トオルが本人役で出演するなどしている。

 なぜバカリズムは、このドラマクラブの存在を知っているのか。シール交換やたまごっち、エンジェルブルーまでは当時の記録から割り出せるだろうが、ドラマクラブに至っては知りようがないはずだが。

 

バカリズムが30代女性のリアルを描ける理由

 2019年に元でんぱ組.incの夢眠ねむと結婚したことを発表したバカリズム。夢眠ねむはアイドル活動をしていた当時から年齢非公開だが、でんぱ組.incに加入した2009年当時で18歳だと仮定すると、2023年現在は30代前半になる。同じく元でんぱ組.incの最上もがも同年代なので、可能性は高い。

 だとすると『ブラッシュアップライフ』主人公・麻美の年齢とも近い計算になる。想像の域を出ないが、実際に当時を小学生として生きていた夢眠ねむに対し、平成初期カルチャーをリサーチする一環として話を聞いていた説が有力なのではないか。

30代のリアルを描いたバカリズム作品はほかにも…

「もしかしたらバカリズムは40代男性の皮をかぶった30代女性なのではないか?」と思えてしまう作品は、ほかにもある。映画『架空OL日記』(2020)と『ウェディング・ハイ』(2022)だ。

2023.03.21(火)
文=北村 有