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瀬戸内海の要所、下蒲刈島へ

 船に揺られること数十分。最初に立ち寄ったのは、歴史と文化が残る「下蒲刈島(しもかまがりじま)」です。人口1,400人ほどの小さな島ですが、古くから瀬戸内海の交流の要所として栄え、朝鮮通信使や参勤交代の西国大名の寄港地として重要な位置を占めていたという由緒正しい島です。

 島には3集落ありますが、今回は「三之瀬」という地区をお散歩してきました。

 船を降りて「海辺の散歩道」を進み、左に曲がってみます。

 石畳の道路が風情を感じさせます。

 整備された気持ちの良い道を歩いていると、かわいらしいマンホールも。松と春蘭という島に自生しているランの一種が描かれているようです。

 しばらく歩いていると、横山大観や福田平八郎・須田國太郎など日本を代表する作家の作品をはじめ、海や松など瀬戸内海の美を描いたものなどを収蔵展示する「蘭島閣美術館」や、下蒲刈島の歴史と文化を紹介する「松濤園」などが見えてきます。

 下蒲刈町は、豊かな自然と日本古来の風習を生かした全島庭園化事業(ガーデンアイランド構想)が推進されていて、島のあちらこちらに歴史を活かした文化施設が整備されています。

 「蘭島閣美術館」の横にある階段をさらに登っていくと、絶景が眺めるビュースポットが。この日は晴天に恵まれたので、キラキラと輝く海面がキレイでしばしぼんやりと眺めていました。

 もう少し先を進むと、途中で無人のみかん販売所を発見。私も試食用をひとついただきました!

 「蘭島閣美術館」や「松濤園」の近くには下蒲刈町の特産品を販売する道の駅ならぬ海の駅「海駅 三之関」が。

 店先には、下蒲刈島産の柑橘類など下蒲刈町の特産品がズラリと並んでいます。私もこちらでお土産を購入しました。

「海駅 三之関」

営業時間 9:00~17:00
電話番号 0823-70-8282
定休日 火曜、水曜

 最後は蒲刈大橋が見える場所へ。

 下蒲刈島の滞在時間は約70分。私は港から左周りのルートを周りましたが、島の反対側には、江戸時代の外交使節団・朝鮮通信使の案内役を務めた対馬藩の宿泊所として使用され、今は美術館になっている「三之瀬御本陣芸術文化館」や、国の有形文化財に登録されている「観瀾閣(かんらんかく)」などもあります。

2022.12.10(土)
文・撮影=根津香菜子