猛吹雪で駆け込んだビジター・センターに集った5人の男女…迫真のサスペンス

◆『パーキングエリア』(2022年)

 次に紹介するのは、閉ざされた空間が舞台のスリラー映画『パーキングエリア』です。まるで推理小説を読んでいるかのような犯人探しのおもしろさと、思わず手に汗握ってしまうサスペンス展開の連続で、観る者の気持ちを最後まで離しません。

 主人公を演じたのは、2021年公開のアクション人間ドラマ映画『Mayday(原題)』で、映画デビューを果たしたアジア系アメリカ人のハバナ・ローズ・リウ。今作では、持ち前のクールな眼光を武器に、何者にも屈しない強い意志と、内に秘めた孤独・臆病さの両方を見事に演じています。

 物語は、薬物・アルコール中毒で施設療養中の女性・ダービーのもとに、母親が急病で倒れた連絡が入るところから幕が開けます。施設を脱走し車を走らせるダービーでしたが、強烈な吹雪に阻まれ、寂れたビジター・センターで足止めを食らうことに。しかし、そこの駐車場で彼女はとんでもないものを目撃してしまいます。

 サスペンス作品において“そんな行動とったら事態が悪化する!”と、観客に思わせてしまう主人公の行動はノイズになりがち。ですが、本作の主人公は“確かにそうするしかないよね”と、思わず納得できる行動を取っていくのが素晴らしく、感情移入しやすいのも特徴。決死の行動の果てに迎える結末は……ぜひご自分の目で確かめてみてください。

あらすじ

薬物・アルコール中毒施設で鬱屈した毎日を送っていたダービーは、“母危篤”の連絡を受け脱走を決意。雪が吹き荒れる極寒の夜に車で飛び出してゆく。しかしあえなく足止めを食らい、4人の男女がいる寂れたビジター・センターで一夜を過ごすことに。だが、そこの駐車場でダービーは驚きの光景を目撃してしまう……。

2022.12.08(木)
文=TND幽介〈A4studio〉