五感すべてを使ってアートに浸る喜び

 オーナーの田中仁氏が「前橋を活性化するために人を呼べるホテルを作りたい」と願い、まず声をかけたのが、建築家の藤本壮介。

 「彼はもともとあった建物(ヘリテージタワー)を大胆な吹き抜けにし、隣接した土地に、土手をイメージした緑鮮やかな芝生が生い茂る「グリーンタワー」を設計した。

 吹き抜け部分には、レアンドロ・エルリッヒによる光のパイプ《ライティング・パイプ》が張り巡らされている。

 これはかつてこの建物にあったであろう、配管や電線管をイメージしたもの。

 時間によって色調が変わるこの作品を眺めていると、「白井屋旅館」から続く数百年の歴史に思いを馳せることができる。

 白井屋ホテルに訪れたら是非、宿泊して欲しいのが、部屋自体が作品となっている、スペシャルルーム。

 板葺きの技術を使った短冊状の木片が壁面を覆う、ミケーレ・デ・ルッキの部屋や、宿泊客が作品の一部になれる木箱のようなジャスパー・モリソンの部屋など、どれもまるで、貸し切りのアートギャラリー。

 美術館のように、広い空間の白い壁に飾られた作品を鑑賞するのとは違い、リラックスした状態でアートに身を置くことの心地よさを感じることができるだろう。

 芸術に造詣が深くなくても、たとえ作家の名前を誰一人知らなくてもいい。「白井屋ホテル」を訪れるだけで皆、想像力がかきたてられるはずだ。

白井屋ホテル(しろいやほてる)

所在地 群馬県前橋市本町2-2-15
電話番号 027-231-4618
客室数 25室
料金(1室) 33,000円〜
https://www.shiroiya.com/

Feature

五感を目覚めさせる
美に貫かれた個性溢れる宿へ

Photographs=Ichisei Hiramatsu