焼きそばは“旅”に向いている。面白いことがあればそれでいい!

――ご著書のタイトルも『焼きそばの果てしなき旅』ですもんね。

小野瀬さん そうです! 今回は海外の焼きそばを食べますが、そもそもワタシは日本中をツアーで回る中で、焼きそばを食べる機会を作っておりまして。

――ご当地焼きそばとか?

小野瀬さん ワタシが今ハマりにハマっている富士宮焼きそばといったメジャーどころもありますが、そもそも焼きそばは地域性がすごく高いんです。その土地のソースメーカーの影響を色濃く受けていたり、麺からして突然異文化が発生しているエリアがあったりして、非常に面白い。例えば北関東はしっかりと蒸して水分を飛ばし切った、いわゆる「輪ゴム系」の麺だったり。那須は突如スープに入ったりします。通り越して福島に行けば、浪江焼きそばは極太。

――ちょっとの違いで個性が爆発するんですね。

小野瀬さん そうなんです。スポット的に個性が爆発、しかもそれがまったく知られていなかったりするんで、新しい街を訪れるときは驚きがあり、それが魅力のひとつです。

――それは焼きそばならではのカルチャーかもしれませんね。ツアーに出るときはしっかり予習して行くんですか?

小野瀬さん もちろん調べては行きますが、ワタシ、方向感覚が優れている方みたいで、知らない街でも地図なしで楽しめるんです。ふらふらと街を歩いて、おおっ! と思ったお店に入ることも多々あります。

――好みのタイプは?

小野瀬さん うーん、「昭和」ですかねぇ。焼きそば業界にはまだまだ昭和が残っていまして。

――「美味しそう」という直感はだいたい当たりますか?

小野瀬さん いや、ハズしますよ。結構な確率でハズします。

――えー!

小野瀬さん でも、いいじゃないですか。面白い看板を撮れて、ヘンな目に遭遇でもすれば、もとがとれたも同然。

――確かに(笑)。

小野瀬さん 焼きそばと旅はとっても相性がいいんです。CREA WEB読者は女性が多いと思いますが、昭和の焼きそば店はだいたい親切で話好きなおばちゃんがやってます。女性のひとり客にも優しい。旅先で思い切って懐に飛び込んでみましょう。季節の果物とかヤクルトとかサービスしてくれるかもしれません。

2021.10.10(日)
文=CREA編集部
撮影=榎本麻美
写真=小野瀬雅生