一芸に秀でた沖縄美人の「沖縄型才能」とは

 芸能界に沖縄出身者が多く、特にダンスパフォーマンスに優れたタレントが目立つのも、そうした肉体的特徴からも説明がつく。

 安室奈美恵を育てた沖縄アクターズスクールは歌って踊れるタレントを数多く輩出してきたし、そういえば今や自民党若手女性議員の象徴的存在でもある今井絵理子議員も、SPEEDという伝説的なユニットのメンバーであった訳で、沖縄型美貌のみならず、「沖縄型才能」というものがある気がしてならない。

 沖縄独自の楽器、三線を弾きながら沖縄民謡を歌う「唄者」として注目された上間綾乃も典型的な沖縄美人。一芸に秀でた人が多いのは確かなのだ。

 「演技派」という賞賛を浴びている二階堂ふみや、二階堂同様、紅白歌合戦の司会も務めた仲間由紀恵、若手世代の中でもひときわ輝いている玉城ティナは、強烈な存在感と個性的な演技、信じられない美貌で映画人から「新たな時代のスター」と絶賛されている。

 ともかく才能に溢れた沖縄美人は枚挙にいとまがないのである。そういえば、新垣結衣も沖縄出身? というほど人材豊富!

 ただそういう意味では、福岡県も浜崎あゆみ、椎名林檎、吉田羊、蒼井優、橋本環奈まで、極めて個性的な才能を量産していて、その辺りは、沖縄県と同様、東京との距離感が、旺盛な自己アピールのエネルギーを生みだすせいではないかと思われる。

 大きな意味で、九州も島。離島としての沖縄の人々は尚更、風雲の志をDNA的に持っていると考えてもいいのだ。

 一方で、土地土地の言葉が期せずして人を穏やかに見せたりキツく見せたり、人としての印象を左右するものだが、沖縄県特有の方言である「うちなーぐち」は、口にする人を皆キュートに見せる。

 母音が少なく擬声語が多い方言は、例えば、ちゅらさん(美しい)、ゆいまーる(支え合う)、わらゆん(笑う)、なちゅん(泣く)など、愛らしい音が満載。

 今時は年配の人しか使わないというが、その一部は確実に若者世代にも継承されている。

 ましてや耳がそういう音をずっと聞いてきたわけで、刺々しい言葉を喋る人たちよりもやはり心穏やかに育っており、標準語を使っても何か音の角が取れた喋り方をすることも、沖縄美人の魅力になっていると考えていい。

 まさに沖縄美人は感性に訴える美しさを宿している。離島だからこそ純粋に守られてきた魅力が、そのまま今の沖縄美を作っているのは間違いないのである。

齋藤 薫(さいとう かおる)

美容ジャーナリスト、エッセイスト。女性誌で数多くの連載を持ち、化粧品の解説から開発、女性の生き方にまで及ぶあらゆる美を追求。エッセイに込められた指摘は的確で絶大なる定評がある。この連載では第1特集で取材した国の美について鋭い視点で語る。各国の美意識がいかに形成されたのか、旅する際のもうひとつの楽しみとして探っていく。

Column

齋藤薫の「美を紡ぐ旅」

齋藤薫さんは、女性誌で数多くの連載を持ち、化粧品の解説から開発、女性に生き方に及ぶあらゆる美を追求している。この連載では、CREA Travellerが特集において取材した国の美について鋭い視点で語っていく。

Text=Kaoru Saito