長い伝統に培われた技術で、新しい発想をカタチに

右:彫刻塗の仕事風景。代々受け継がれてきた作業台は漆がこびりついて分厚くなっている

 銅器着色のモメンタムファクトリー・Oriiさんも意欲的。銅像や美術工芸品に様々な手法で色をつける技術なのだが、独自に1ミリ以下の薄い銅板・真鍮板に着色する技法を開発、インテリア、エクステリアの素材として売り出している。「3度目の出展となるニューヨークの家具見本市で実績をつくりたい」と社長の折井宏司さん。意気軒高だ。高岡市の伝統工芸は金属だけではない。漆地に薄くそいだ貝で加飾を施す「螺鈿細工」も有名だ。武蔵川工房4代目剛嗣さんは「螺鈿をもっと身近なものとして楽しんでもらいたい」と語る。伝統の青貝螺鈿を施したiPhoneカバーは、漆器くにもとさんのヒット商品だ。

高岡の伝統工芸の保存・継承のかたわら、新しいクラフト製品の開発や新技術・新素材の研究開発を行っている。センター内のギャラリーでは、1986年から毎年開催されている「工芸都市高岡クラフトコンペティション」の入賞作品を見ることができる。高岡市では10月3日から7日まで「工芸都市高岡2013クラフト展」や工場見学ツアー等、クラフト関連のイベントが予定されている<高岡市デザイン・工芸センター>

 新しい発想をカタチにできるのは、長い伝統に培われた技術があるからこそ。「今日まわったところはほんの一部。まだまだ意欲的な作り手が大勢いるわよ」。パワフルな助っ人女子を見送りながら、私たちはこの高岡の地で、「匠の技」が日々進化し続けていることを実感した。

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富山ガラス工房
電話番号 076-436-2600

瑞龍寺
電話番号 0766-22-0179

大野屋本店
電話番号 0766-25-0215

万葉線株式会社
電話番号 0766-25-4139

大仏寺
電話番号 0766-23-9156

高岡市デザイン・工芸センター
電話番号 0766-62-0520

株式会社 能作
URL www.nousaku.co.jp

株式会社 高田製作所
URL www.imono.com

有限会社 シマタニ昇龍工房
URL www.syouryu.co.jp

有限会社 モメンタムファクトリー・Orii
URL www.mf-orii.co.jp

有限会社 武蔵川工房
URL www.raden-musasigawa.com

漆器くにもと
URL www.kunimoto-japan.com

photo:Atsushi Hashimoto / Mami Yamada
illustration:Megumi Asakura
text:CREA Traveller
produced:Sachiko Seki
cooperation:Toyama-ken / Toyama-shi / Takaoka-shi / Nanto-shi