職場で褒めるときは 人前でしっかりと
――国際証券では、誰かにサポートしてもらった経験はありますか。
営業先のお客さまが私の理解者であり、サポートしてくださいました。
国際証券は日本の証券会社。私のお客さまはアメリカ、ヨーロッパの投資信託のファンドマネージャーでした。そのかたたちは発注する株数が多いので、30~40社の証券会社がアポを取りたくて並んでいるんです。アポを取るのに1カ月も2カ月もかかる。
でも、営業職には女性がひとりもいないから、私はすぐに会ってもらえました。
私は英語を話せる、アナリストの資格もある。お客様はみな、いろんな動きを知りたいのに、「日本の証券会社は言っていることがみんな同じでつまらない」と。そういったときに、いつもと違う人がやってきて、ほかとは違ういい情報を持ってくる。自分の考えも言える、ということですごく受けたんです。
男性のなかで女性ひとりだったからこそ。そして数字に現れてきたので、上司も私に注目するようになりました。
――ご苦労もありましたか。
苦労したことは、あまり覚えていないんです。
一番苦しかったことって、出産かなと思います。痛みは無痛分娩だったのであまりなかったんですが、最後の最後に夫はずるい、なんで夫はこの痛みを感じずに親になれるんだと思いました(笑)。
――岡島さんが職場のリーダーとして気を付けていることは?
自分がやることと、やらないことを分けて、委譲するところもありますが、どちらかというと私のやりかたを見てください、というスタイルで進めました。「このようにやって」と口にする指導の仕方ではなく。
それから、褒める。叱らない。
風土もあるかもしれませんが、アメリカのビジネスシーンでは、まず叱りません。注意をするときは人前ではなくて必ずふたりきりになるとか、ランチに誘うとか。何かをやって欲しいとき、変えて欲しいときには、すごく気を遣います。
褒めるときはみんなの前で。よかったことはいろんな人に伝える。本人だけでなく。
サッカーのコーチもしていましたが、アメリカのコーチは必ず褒めるんです。子供の場合はまず褒めて、いい気持ちにさせて、いいところを伸ばすんです。
2020.08.29(土)
文=藤森三奈