島の暮らしのなかで大切に受け継がれてきた伝統の味わい。
時代が移るとともに食文化が大きく変化した今だからこそ包丁人(ほーちゅー)たちが丁寧に作る一皿の美味しさは、いっそう魅力的なのだ。
沖縄へ行ったら一度は訪れたい、注目のレストランを5軒ご紹介。
琉球宮廷料理に宿る 本来の美味しさ
●琉球料理 赤田風
琉球王朝の栄華を象徴する首里城のおひざもとで暖簾を掲げ続けて25年余。
「赤田風(あかたふ)」は、沖縄正統の食文化の素晴らしさを伝え続ける貴重な名店だ。
「皆さんがご存じの沖縄料理。実はその多くは、かつて琉球王朝で供されたもの。本来は調理に非常に手間と時間がかかる奥深い高級料理なのです」と語る店主の城間健さん。
この道ひと筋45年、琉球宮廷料理の第一人者だ。
時は19世紀末、王朝の崩壊とともに宮廷料理人が市井に下りたことによって、人々の間で広く親しまれるようになった滋味深い料理の数々。だが、時を経るにつれて本来の姿とはかけ離れたものとなってしまったという。
「ラフテーも本来は、下ごしらえから煮上げるまで数日かかる料理なのです」
丁寧な手仕事が凝縮したコースには、これが本物の美味しさなのか……と誰もが感嘆。「赤田風」に行かずして、沖縄を語ることはできないのだ。
城間 健(しろま けん)さん
1948年那覇市首里生まれ。28歳で料理の道に入り、琉球宮廷料理の名店「美榮」にて17年にわたり厨房に立つ。45歳で独立し、「赤田風」を開業。宮廷料理の伝統を守る数少ない料理人のひとり。
琉球料理 赤田風(あかたふ)
所在地 沖縄県那覇市首里赤田町1-37
電話番号 098-884-5543
営業時間 18:00~22:30
定休日 日曜 ※完全予約制(昼は4~5名で予約可)
料金 コース 4,000円~
Feature
希少な技を受け継ぐ
沖縄の“包丁人”たち
取材・文=矢野詔次郎
写真=大湾朝太郎