フィンランド旅を経て完成!
小関さんが扮したスナフキン版も

 現地での行程は、旅や北欧に強い知人編集者や大使館にもヒアリングを重ねたうえでお願いすることとなった現地コーディネーターの趣向と力量もあり、ヘルシンキを拠点にフィンランドを代表する「ARABIA」「ITTALA」「Artek」といった歴史あるブランドに触れ、南西部沿岸の古都トゥルクを拠点にエシカルなインテリア・テキスタイルを生み出す「Saana ja Olli」というデザイナーズユニットとは、裕太氏たっての希望もあり一緒にピクニックに出かけるなど、結果的に北欧デザインのクリエイターを訪ねる旅にもなりました。

 そういう意味で今回の写真の特徴の一つは、被写体単独のキメ写真の連続ではなく、箸休め的に収められている小関さんと人々の微笑ましい記念写真であって、そこには誰に対しても垣根を作らない小関さんが旅の主人公だったからこそ写されたフィンランドの真骨頂ともいえる豊かな時間の流れを感じ取っていただけると思います。

 できあがった写真集の表紙は、初夏を迎えていたフィンランド旅で何度も見上げた空の色でもあり、フィンランドの国旗にもあしらわれている水色を採用。吉田さんの提案もありアートブックなどによく見られる布張りにすることで、まさに長く手元に置いてもらいたいという想いを込めました。

 篠崎さんによる押し花はポストカードに仕立て、数量限定のスペシャルエディションのみインサート。なぜゆえポストカードなのか? は、写真集を購入いただけると、答え合わせをしていただけると思います。

 ちなみに実際に写真集を手にとった小関さん本人のコメントはというと、下記の通り。

「行く人それぞれ、フィンランドのイメージはもちろん違うと思うのですが、この写真集では僕の思うフィンランドが十二分に詰め込まれていると感じました。ハードカバーの材質感と色合い。写真に写って見える、そよぐ風。出会った方々の生活感。観光ではなく、リアルが彩られていると思います。今回は、旅好きの僕が普段から大事にしている、『観光ではなくそこに住んでいる人々の生活感を知る』ということを重視して、フィンランドで活躍するデザイナー達と出会い、その方々のアトリエやお家にお邪魔させていただく中で得るものとの出逢いもテーマとなりました」

 なお、写真パートは1日目、2日目……と時系列に。ときにフィンランドならではのダイナミックな自然の風景にも分け入りながら、今城さんの瞬発力が写した徐々に表情だけでなく心まで解き放たれていく小関さんを、吉田さんによってリズミカルにデザインされたページをめくるにつけ、追体験してもらえる展開に。

 さらに実際に訪れた全ての場所のちょっとしたガイドを添えて、読者がフィンランドを旅してもらえる一冊としました。

 最後に、今回の写真集の個人的な味わいどころを挙げるとするなら、インタビューのパートでしょうか。

 小関さんのヒューマニティ溢れる言葉の数々からは、旅の途中に24歳の誕生日を迎えた彼が、驚くほどの瑞々しい感性でフィンランドでの時間を自分のものにしていったこと。その限りないポテンシャルが満ち溢れています。

小関裕太 3rd写真集
『Kiitos! [キートス] ~Yuta Koseki in Finland~ photo by Jun Imajo』

価格 通常版 4,000円、スペシャルエディション版 5,000円
発売・販売元 アミューズ
※アスマートhttps://www.asmart.jp/ ほか
銀座 蔦屋書店、Artek Tokyo Storeで販売。完売次第、終了

※2019年11月29日(金)まで東京「IDD 世田谷ものづくり学校」で今城さんの一部写真展と、フォトグラファーとして初めての小関さんによる写真展を同時開催。
詳細は https://ticket.line.me/sp/kosekiyuta

※2019年12月1日(日)に銀座 蔦屋書店に小関さんが登壇し、岡田さんが進行役を務めるトークイベントを開催。フィンランドで小関さん本人が撮影したサイン入りの写真作品の抽選会も実施される。
詳細は https://store.tsite.jp/ginza/event/art/10821-2031041103.html

※2019年12月2日(月)まで東京「Artek Tokyo Store」でヘルシンキの「Artek 2nd Cycle」で撮影した写真集のオフショット写真を特別展示。
Artek Tokyo Store https://www.artek.fi/artektokyo/jp/

小関裕太(こせき・ゆうた)

1995年6月8日生まれ。東京都出身。2003年にCMデビューし、2006年から3年間「天才てれびくんMAX」にレギュラー出演。その後、舞台・映画・TV・CMなどで活躍。2018年にNHK連続テレビ小説「半分、青い。」では個性的な役を演じた。2019年には映画『“隠れビッチ”やってました。』、ドラマ「死亡フラグが立ちました!」などに出演し、2020年には3年ぶりのミュージカル『四月は君の嘘』に挑戦する。

◆過去の記事を読む
https://crea.bunshun.jp/articles/-/9996

2019.11.26(火)
文=岡田有加(edit81)
写真(書影)=野口佳那子(OWL)