マルチカルチャーな街、香港では、多国籍な料理人が知識や文化を交換し、そこからインスピレーションを得た新しい料理が毎日のように生まれている。
香港らしさが凝縮したファインダイニングから、もう目が離せない。
◆AMBER
(アンバー)
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香港のフレンチで、世界的に最も有名なのがこちら。
ラグジュアリーホテル「ザ ランドマーク マンダリン オリエンタル 香港」のメインダイニングとして2005年にオープンして以来、ミシュランの2ツ星を獲得、レストランランキングのアジアのベストレストラン50では上位入賞の常連であるなど、数多くの賞を総ナメにしてきた。
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そんな超人気店が昨年末、全面改装のため一時休業を発表。香港のみならずアジア各国で大きな話題となった。
今春リニューアルオープンした新生アンバーのコンセプトは“ピュアネス”。
より自然に、物事の本質を求め、軽やかに、カジュアルに、とスピーディに進化する世界の新潮流を料理やインテリアで表現している。
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総料理長を務めるリチャード・エッケバスさんによる新メニューでは、フレンチを軸としながらも、バターやクリームといった乳製品は一切使わない。塩や砂糖を極限まで減らし、素材のもつ味の輪郭をクリアに描き出す。
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当然のように出されていたパンとバターも見直し、お仕着せのサービスを廃止(リクエストすれば提供される)。
過去の成功体験をさらりと脱ぎ捨てた、ホテル内のダイニングとは思えないほどラディカルな攻めの姿勢が心地よい。
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料理の見せ方もユニークだ。ゲストは食事の途中で食卓を離れ、キッチンに案内される。
そこにはカウンターが設置されていて、厨房設備やプロ仕様の珍しい調理器具、キビキビと働くスタッフの熱気を目の当たりにしながら、出来たての一皿をスタンディングスタイルで味わう。
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キッチンやラボにゲストを招き、そこで料理をサービスするのは世界的に新しいトレンドだが、実施しているレストランはまだ数少ない。ここではいち早くそれを体験できる。
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コース料理を完食すると、満足度は高いのに食後感は驚くほどライト。
最先端の時代の空気をぜひ味わってみてほしい。
AMBER(アンバー)
所在地 The Landmark, 15 Queen’s Road Central, Hong Kong
電話番号 852-2132-0066
営業時間 12:00~14:00(L.O.)、18:00~21:00(L.O.)
定休日 無休
※ディナーコース 1,788香港ドル~
ラストオーダーの15分前までに入店。
朝食は個室予約のみ対応(7:30分~10:00[L.O.])
https://www.landmark.hk
※1香港ドル≒13.67円(2019年8月現在)
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Feature
多彩に華麗に進化中
最旬ファインダイニング
Text=Shifumi Eto
Photo=Atsushi Hashimoto
Cooperation=Hong Kong Tourism Board