王家の権勢を語る豪奢を極めた宮殿
王宮
バラ色の外壁をもつこの王宮は、ローマで活躍した建築家ドメニコ・フォンターナによって1600~02年に建造された。その後も増改築が行われ、1837年の火災ののちには、ガエターノ・ジェノヴェーゼによって新古典主義様式の宮殿に改装された。プレビシート広場に面した王宮の正面は17世紀当時の様子をとどめているが、正面の壁龕(へきがん)に配された8人のナポリ王の彫像は、19世紀末に設置されたものである。
王宮は18世紀以降ナポリを支配したブルボン家の王たちの居城として使われた。宮殿内部には18~19世紀の王家の絵画コレクションやフランス・ブルボン家の王立ゴブラン製作所のタピスリーをはじめとする装飾工芸品が豪華に飾られ、ナポリを支配したブルボン王朝の栄華の歴史を物語っている。
王宮の一角には1700年代の優雅な装飾がほどこされた「宮廷小劇場」があり、王侯貴族の贅沢な娯楽をしのばせる。
photo:Kinta Kimura
supervision:Michiaki Koshikawa
text:Akiko Kobayashi / Makiko Kawai