ついに食のマーケット「イータリー“EATALY”」がローマデビューを果たした。構想からオープンまでに3年の月日を費やした後、イータリー第1号店がトリノに登場し話題を呼んだのは2007年1月のことだった。以来、イタリア国内に9店舗、日本に11店舗、NYに1店舗を展開と、飛躍的な成長を続けている。さらに向こう3年の間に、バーリ、ピアチェンツァ、ミラノ(ミラノ・ドゥエ)、フィレンツェ、ヴェローナでのオープンが予定されているらしい。

この建物は、もともと南オスティエンセ駅の駅舎として建てられた

 数ある店舗の中でローマ店は最大の規模を誇る。それもそのはず。話はかなり遡るが、ローマのイータリーは、イタリアが開催地となった1990年サッカー・ワールドカップに向けて建設されたエアーターミナルの跡地を利用しているからだ。ローマを代表する近代建築物のひとつであるにもかかわらず、大した再利用がなされぬまま、20年もの間、放置されていたエアーターミナル跡を修復し、息を吹き返させたのがイータリーだったわけだ。消費者に高品質で安全な食品を届けるという使命だけに留まらず、忘れ去られた価値ある建築物に再び生命を与えることも彼等のコンセプトのひとつなのである(トリノ店、ボローニャ店、ジェノヴァ店も然り)。

イートインスペースは全23カ所! あなたはどこで何を食べる?

 さて、バカンス時の8月だし、しかも平日だからさほど混んではいないだろうと甘く考えてオープン間もないローマ店へ足を運んでみたら大失敗。700台近く収容できる駐車場はほぼ満車。旋回を繰り返した後、空いたスペースになんとか車を押し込み、店内に足を踏み入れてみると夕食時のレストランはどこもほぼ満席。空腹を抱えながら、とりあえず夕食は後まわしにしてまずは店内を散策することにした。

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text&photographs:Yukie Muramoto