ナポリに移送された莫大な美術コレクションの行方
コレクションのうち古代の作品は、16世紀末に建てられ、大学として使用されていたこともあるストゥーディ宮殿に展示されることになった。これが、現在の国立考古学博物館の前身である。
展示室に並ぶ等身大、あるいはそれ以上の大きさを誇る大理石像の数々は圧巻だ。古代彫刻は、神話に登場する神々や英雄を題材としている。多様なポーズをとる均整のとれた人体表現は、後世の芸術家たちから規範として称えられた。群像の織りなすダイナミックな表現や、たくましい英雄の肉体、官能的な女神は、時代を超えて嘆賞されてきたのだ。
後ろ姿に自信あり、女神についた名前は? 《カッリピージアのヴィーナス》 1世紀頃
衣を大胆にたくし上げて見事なヒップを見せる美の女神ヴィーナス。「カッリピージア」という通称は、ずばり「美しい尻」という意味のギリシャ語に由来する。後ろを振り返るポーズは、水浴から上がり、水面に映った自分の姿を眺める様子だと考えられている。
photo:Kinta Kimura
supervision:Michiaki Koshikawa
text:Michiaki Koshikawa / Maria Fukada