美しいバロックの町モディカは、チョコレートの町
南イタリア・シチリア島南東部の山間部に位置するモディカは、小さいながらも後期バロック様式の町のひとつとして世界遺産に登録されているところ。この美しく小さな町のメインストリートには、数十ものチョコレート専門店が軒を連ねています。どの店でも売られているのは、そう、「モディカ・チョコレート」。最近、日本でも紹介されているようですので、ご存じの方も多いかもしれませんよね。
「とろける口どけ」がチョコレートの当たり前なら、「モディカ・チョコレート」は、チョコレートであってチョコレートにあらず。なぜなら、ザクザクと噛み砕いてるうちに、ジワリと溶ける不思議な食感がこのチョコレートの特徴だから。
この不思議な食感の秘密は、ひとえにその製法にあります。カカオパウダーとカカオバターを練り合わせるのが、現在主流のチョコレートの製法ですが、モディカ・チョコレートで使うのは、石臼で粉砕して抽出したカカオパウダーだけ。28~30度で溶けるカカオバターを使用しないため、生半可な温度では溶けないわけです。
ちなみに、このカカオ抽出法は、なんと、アステカ帝国で行われていた方法と同じ。なんて聞くと、いかにも「それって町おこし?」なんて感じもしますけど、かつてよりこの町に伝わる由緒正しい製法というから驚きます。
しかし、なぜにアステカ帝国の製法が、遠いモディカまで伝わったのでしょう? その伝来の歴史は、シチリア島がスペイン領だった時代まで遡ります。