古代アステカ人が崇めたカカオ本来の味を楽しめる
ヨーロッパにチョコレートが伝わったのは、スペイン軍がアステカ帝国を征服した折、アステカ王からお土産にいただいたカカオを持ち帰ったことからと言われています。当時のチョコレートはカカオを溶かした飲料で、滋養強壮に効く薬のような存在でした。これが王侯貴族の間でブームになり、ヨーロッパ各地に勢力を広げていたスペイン王国によって、各地にもたらされます。
スペイン領だったモディカにも同様にカカオが伝わりますが、その時代は、まだカカオバターを抽出する技術が開発される前。そのため、そっくりそのままアステカ帝国の製法が、伝来したというわけです。
モディカ・チョコレートは、石臼で抽出したカカオパウダーを、カカオの栄養分を壊さない程度の低温で溶かし、そこに砂糖とスパイスを加え、材料が均一になったところで室温に戻して固めます。ザクザクとした独特な食感は、溶けきらなかった砂糖の粒。
ザクザクジャリジャリとかみ砕くうち、カカオと砂糖がじょじょに溶けはじめ……(カカオパウダーは34度で溶け出すそうです)、そうして砂糖の甘さと濃厚なカカオの風味が一体となったとき、甘くて苦い、めくるめく感動が口の中に広がるのです。「とろける口どけ」は味わえませんが、古代アステカ人が「神の飲みもの」と崇めたカカオ本来の味が楽しめる貴重なチョコレートです。
Antica Dolceria Bonajuto
住所 Corso UmbertoⅠ, 159 Modica
電話 +39‐0932‐941225
岩田デノーラ砂和子
フリーライター・コーディネーター・イタリア語通訳。2001年より、イタリア在住。メディアコーディネートおよび女性誌、WEBに執筆するほか、イタリア関連書籍多数。近著は人気シリーズ第3弾「街歩きのイタリア語」。
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