火山灰の下から甦った2000年前の芸術作品
アレクサンドロス大王の絵が飾られていた意外な場所とは?
《アレクサンドロス大王とダレイオス3世の戦い》 前1世紀頃
地中海世界を支配したアレクサンドロス大王と、敗走するペルシアのダレイオス3世。ポンペイで最も豪華な装飾があった「ファウヌスの家」から出土。現在は壁面に展示されているが、本来は邸宅の中庭に面した部分の床面を飾っていた。
西暦79年、ヴェスヴィオ山の噴火によって火山灰に埋もれたポンペイからは、18世紀に多数の美術作品が発見された。カルロ王は、ポンペイなどナポリ近郊の古代遺跡の発掘を熱心に進め、魅力的な出土品を収集した。こうして王家が所有した貴重な壁画やモザイク、工芸品も、国立考古学博物館の展示品の目玉のひとつだ。
古代、裕福な貴族たちは邸宅の内部を壮麗に装飾した。壁面には風景、人物などの絵画が描かれ、テッセラと呼ばれる石や色ガラスの破片を敷き詰めて図柄を描くモザイクは、床面の装飾に用いられていた。
マケドニアのアレクサンドロス大王の戦闘を描いた有名なモザイク(幅約6メートル)は、小さなテッセラを約百万点も使い、入り乱れる兵士たちを臨場感たっぷりに描いている。当時の職人たちの技術の高さには驚かされる。
国立考古学博物館
Museo Archeologico Nazionale
住所 Piazza Museo Nazionale 19, Napoli
電話番号 +39-081-442-2149
開館時間 9:00~19:30
定休日 火曜、1月1日
拝観料 6.50ユーロ(特別展8~10ユーロ)
photo:Kinta Kimura
supervision:Michiaki Koshikawa
text:Michiaki Koshikawa / Maria Fukada