アルコール派にお薦めの食前酒

 ほんのりした苦みが口の中に残る夏にぴったりの食前酒、スプリッツ(Spritz)はアルコール派にお薦めしたい。透き通ったオレンジ色が夏の太陽によく似合う、ヴェネト州ではお馴染みの食前酒である。やや癖のあるテイストだが、慣れるとその独特な味わいがけっこう癖になる。

 白ワイン4割、ガス入りの水(またはソーダ)3割、残りの3割をアペロールやカンパリなどのリキュールで割るのが定番のつくり方だと言われているが、さらにマティーニ・ロッソを加えたり、水は使わないケースもあり、好みによってそのつくり方は多様化している。

 ちなみに我が家のスプリッツはプロセッコとアペロールを約7対3で割り、オレンジスライス(またはレモン)を入れたごくシンプルなもの。来客のある時は串にさしたグリーンオリーブでさらにカクテルっぽく仕上げたりもする。一からつくるのは面倒という人向けには、カンパリソーダ同様、すでにカクテルになっている『アペロール・スプリッツ』が市販されている。

スプリッツ(左)を使ったカクテル(右)
レモンのジェラートをウォッカ(またはグラッパ)やプロセッコで割ったスグロッピーノ

 いっぽう、東京のイタリアンでもほとんど見かけず、意外と日本で知られていないと思われるのが、レモンのジェラートをウォッカ(またはグラッパ)やプロセッコで割ったスグロッピーノ(Sgroppino)。16世紀初頭から貴族の間で食中の口直しとして愛飲されていたと言われるスグロッピーノは、現在、食後酒として親しまれている。

 食事は終えたがやや飲み足りない、食べ過ぎて胃がもたれ気味、デザート以外の何かで食後を締めくくりたい、そんな時はこのスグロッピーノが大活躍する。レモン・ジェラートに好みの分量のウォッカ(またはプロセッコ、または両方)と少々の氷を加えてミキサーにかければ簡単にできるので、我が家の夏の食卓にしばしば登場する。

 レストランのメニューに記載されていない場合もあるが、頼めばほぼどの店もつくってくれるはずなので、イタリアへお越しの際は、ぜひ、お試しを。

Tazza d' oro
住所 Via degli Orfani 84 Roma
電話番号 06-6789792
URL www.tazzadorocoffeeshop.com/en/home.html

村本幸枝(むらもとゆきえ)
イタリアでは撮影コーディネートを、日本では東京・中央区で日伊文化交流サロン「アッティコ」を主宰。在伊歴20年ちょっと。現在、年の半分ずつをイタリアと日本で過ごしている

日伊文化交流サロン「アッティコ」:www.attico.net

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text&photographs:Yukie Muramoto