あ、ハチ!?

ハチのブローチ(小) 380ユーロ

 春、輝くイタリアの太陽が戻ってきた。暖かな光を浴びて、花はいっせいに咲き、鳥は歌い、虫が舞う。ああ、きたっ、この季節! やっぱりイタリアは太陽に溢れた季節が楽しい。ふと、咲く花に目をやると、あ、ハチ!? いえいえ違います、これ、ビーズアクセサリー。

 しゅっと伸びた触角、背中の丸み、羽の透明感、まるで本物みたいでしょ。今にもブンブンブンと羽音をたてて飛びそう。

 こんな繊細で、個性的で、でもとってもかわいいビーズアクセサリーを集めたお店「Aprosio & co.(アプロジオ)」をイタリア・フィレンツェからご紹介します。

祈りは花にも貝にもなって

左:花のネックレス 490ユーロ 右:貝のオブジェ(大) 300ユーロ、(小) 200ユーロ

 ビーズという言葉の語源は、アングロサクソン語の“biddan=祈る”、“bede=祈る人”に由来すると言われています。その起源はいまだ明確にはなっていませんが、南アフリカでは7万5000年前の貝殻ビーズ、ロシアでは2万5000年前のマンモス象の牙ビーズが発見されるなどその歴史は古く、太古からビーズは神聖な物として、主に祈りの時に用いられてきました。

 その後、エジプト文明を経て、装飾品として華やかに作られていくようになったビーズは、世界中で、その土地の文化、素材に彩られながら進化していきます。イタリアでも、14世紀ベネツィアで大きく花開いたガラス工芸技術を元に、ビーズ細工はより美しく繊細に輝きをましていきました。

オーナーのオルネラさん。お店で、小さなねずみの形のピアスを見つけて、思わず「かわいいー」と言ったら、「そうでしょ! 私のかわいい恋人なの」と、少女みたいに瞳をキラキラさせて笑う

 ここ「アプロジオ」のアクセサリーもベネチアングラスのビーズを使って、ひとつひとつ手作りで作られています。

 女の子ならみんな「かわいい!」と声を上げてしまいそうなすてきなアクセサリーは、オーナーのオルネラさんが、自然が大好きということで、草花や虫、動物など自然をモチーフにしたものがたくさん。その出来映えは、手工芸品を越えて、もう芸術品の域。その美しさ、輝きは、ずっと手元において大切に眺めておきたくなるよう。

 遠く古に神聖な物として大切にされたビーズは今、花となって貝となって、美しいアクセサリーとして、私たちは出会うことができます。

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