入場無料のエキシビションや
図書室、カフェ、レストランも

常設展「Designer Maker User」の入り口部分には、「生活のなかのよいデザイン」250点が掲げられた壁が。

 新しいデザイン・ミュージアムのセカンド・フロア(3階)には、デザイン・ミュージアムとしては初の入場無料の常設展と、レジデンシー・スタジオが設置されています。

 常設展「Designer Maker User」は、デザインとはなにかをテーマにデザイナーの側だけからではなく、ユーザーの側からもとらえたエキシビションです。入り口には、ソーシャルメディアで一般から募集した「生活のなかのよいデザイン」250点を展示しています。

 一方、レジデンシー・スタジオでは、2016年のデザイン・ミュージアム「デザイナーズ・イン・レジデンス」に選ばれた4人のデザイナーの作品が展示されています。レストランがあるのも同階です。

常設展「Designer Maker User」には、見慣れたロゴや地下鉄路線図など、生活に密着したデザインが数多く展示されている。
「レジデンシー・スタジオ」では、今後、デザイナーが実際に作業している様子も見せていく予定だそう。

 ファースト・フロア(2階)は、イベントや教室などに使われるワークショップ・スペースやスタジオ、そして図書室などが設置されています。イベントは、子ども向けのものから成人向けのものまで、さまざまなプログラムを企画していくとのこと。

 図書室には、デザイン関連の蔵書が揃っているうえ、仕切りのあるデスクもあり、ちょっと時間つぶしにのぞいてみたいという人から、集中して調べ物をしたい人まで、自由に利用することができます。

ファースト・フロア(2階)にあるクリエイティブ・ワークショップ。今後さまざまなイベントやプログラムが開催される。

 グランド・フロア(1階)には、ミュージアムのメイン・エキシビションとなる企画展が開催されています。こけら落としとなる「Fear and Love」展は広義でデザインをとらえ、世界で活躍する11人のデザイナーと建築家の作品を展示しています。日本からは原研哉さんの企画として、水谷嘉孝さんのイラストレーションが並んでいます。

左:グランド・フロア(1階)の企画展「Fear and Love」に展示されている原研哉さんの「Staples」。イラストレーションは水谷嘉孝さんの手によるもの。
右:「Fear and Love」からオランダ人デザイナーのクリスティン・メンデルツマさんの作品「Fibre Market」。1000着の捨てられたセーターからカラフルな繊維の山をディスプレーしている。
地下ギャラリーの企画展「Beazley Designs of the Year」。70点以上の作品群は、見応えたっぷり。
地下ギャラリーの企画展のためのポスター。トイレのサインにもデザイン性が光る!

 地下のギャラリーで開催中のもうひとつの企画展「Beazley Designs of the Year」では、過去12カ月の世界の優れたデザインとしてノミネートされた70点を超える作品を見ることができます。グランド・フロアと地下の企画展は、今後、4~6カ月ごとに入れ替え予定とのこと。

 ショップ、カフェ、図書室など、美しい建物のなかに気軽に利用できる施設が詰まった新しいデザイン・ミュージアム。ケンジントン地区の博物館めぐりのコースに、ぜひ加えたい新名所です。

ショップは、デザイン関連の本はもちろん、ちょっと気の利いたロンドン土産を調達するにも利用価値大。

The Design Museum(デザイン・ミュージアム)
所在地 224-238 Kensington High Street, London W8 6AG
電話番号 020-3862-5900
開館時間 10:00~18:00(第1木曜~20:00、無休)
http://designmuseum.org/

安田和代(KRess Europe)
日本で編集プロダクション勤務の後、1995年からロンドン在住のライター編集者。日本の雑誌やウェブサイトを中心に、編集・執筆・翻訳・コーディネートに携わる。
ロンドンでの小さなネタをつづったフェイスブック www.facebook.com/kresseuropelimited
運営する編集プロダクションのウェブサイト www.kress-europe.com

Column

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世界の12都市から、何が旬で何が起きているかをリポートするこのコーナー。
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文・撮影=安田和代(KRess Europe)