イギリスの消費社会の歴史がわかる
レトロなポスターやパッケージが1万2000点

キャドバリーといえば、英国のチョコレートの代名詞。過去のパッケージからは、現在では販売されていないバリエーションもうかがえる。(C)Museum of Brands, Packaging and Advertising

 スーパーマーケットの店内を眺めれば、人々の生活がほの見える、というくらい、日用品の数々はその時代、その土地の生活を反映しているもの。そんな日用品のパッケージを手に、ふと「自分がこれを捨ててしまったら、このパッケージは未来永劫残らないのでは」という危機感にとらわれた社会史家ロバート・オーピーさんが、過去50年にわたり収集してきた1万2000点に及ぶコレクションを展示しているのが、Museum of Brands, Packaging and Advertising(ブランド・パッケージ・広告博物館)です。

ミュージアムの外観。閑静な通りに面している。(C)Museum of Brands, Packaging and Advertising

 タイムトンネルのように時系列に並べられた商品パッケージや広告を眺めながら、ヴィクトリア朝から現代へと帰ってくる構成は、どこか懐かしい品々の連続。

 タイムトンネルの始まりにあたるヴィクトリア朝は、産業革命と鉄道システムの発展によって、それまでよりも多くの物品が国全体に行き渡るようになり、さまざまな商品が一般家庭にまで普及していった時代。当時の鉄道の時刻表や、劇場のポスター、コールドクリームや歯磨き粉、洗濯洗剤のパッケージなどがぎっしりと並んでいます。

ヴィクトリア時代から20世紀の終わりまで、時系列に並べられた展示品は、まるでタイムトンネルのよう。(C)Museum of Brands, Packaging and Advertising
ヴィクトリア時代に登場して以来、日常生活に欠かせなくなった洗濯洗剤のパッケージ。旧通貨(シリング)の表示やエリザベス女王の王室御用達マークが見て取れる。(C)Museumof Brands, Packaging and Advertising
レトロなチョコレートバーがずらり。キットカットのおなじみのロゴは、昔も今もあまり変わっていない。(C)Museum of Brands, Packaging and Advertising

 つづくエドワード朝では、ユーモアあふれるイラスト入りのポストカードが大流行、政治的なメッセージが強いものもあり、英国人が好きな風刺画は、この時代にも健在だったことがわかります。

 20世紀に入ると、1910年代から1990年代までの展示は10年ごとに区切られ、その期間にあった大きな出来事も解説されています。

 英国ならではの王室関連ものや、ソープや食品のパッケージ、女性向けのファッション誌の表紙は、繰り返し展示されているので、その変化と普遍性も俯瞰できるのは興味深いところです。

広告やパッケージだけでなく、ラジオをはじめ、その時代時代に普及した電化製品も展示されている。(C)Museum of Brands, Packaging and Advertising

文・撮影=安田和代(KRess Europe)