【次に流行るもう一曲】
TK from 凛として時雨「Signal」

ソロであることの必然性に満ちた作品

伊藤 2曲目はTK from 凛として時雨の「Signal」。TKっていうとあの人を思い出す人が多いと思うけど、今回はロックバンド“凛として時雨”のヴォーカル&ギターのTKで、本名は北嶋徹。

山口 凛として時雨のキャリアも随分長くなりましたね。ともかくライブがカッコイイと業界で話題になっていたのはもう10年くらい前になりますね。

伊藤 バンドのヴォーカリストがソロ名義で音楽活動するのは珍しくはないけど、バンドの名前を堂々とアーティスト名に入れてしまうのは大胆ですね。もともとソロ名義でのデビューはフォトブックと映像作品で、TKがスコットランドとアイルランドを旅した時の写真と日記と、自身の曲をBGMに8ミリビデオで撮影した映像をまとめたもの。バンドでもソロでも作詞作曲、エンジニアリングにも参加しているので、何でも自分でやっちゃいたいアーティストなんでしょうね。

山口 わざわざソロでやる意味があるプロダクトになっているのは好印象です。話題作りや気分転換ではない、創造的な意味での必然性を感じました。

伊藤 音楽だけに留まらない、ソロアーティストとしての奥行きが作品になっています。サウンドをとっても歌詞をとってもすごくアーティスティックなのに、独りよがりにならない魅力をまとっていて、TKというアイデンティティがそのまんま作品になっている。全身で自分を表現している、そこに嘘がないことがビンビン伝わってきました。

TK from 凛として時雨「Signal」
ソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズ 2016年9月7日発売
期間限定盤1,300円、通常盤1,200円(税抜)
■TKは、2008年にメジャーデビューした凛として時雨ではヴォーカルとギターに加え、すべての楽曲の作詞・作曲・エンジニアリングを担当するフロントマン。バンドと並行して、2011年からソロ名義の活動を開始。本作の表題曲は、MBSやTBSなどで放送されているTVアニメ「91Days」のオープニングテーマとなっている。
■「Signal」作詞・作曲/TK
http://tkofficial.jp/

【動画サイト】
「Signal」

https://www.youtube.com/watch?v=uNjKYBnRbdE

山口哲一 (やまぐち のりかず)
(株)バグ・コーポレーション代表取締役、コンテンツビジネス・エバンジェリスト、音楽プロデューサー。「デジタルコンテンツ白書」(経済産業省監修)編集委員。経済産業省「コンテンツ産業長期ビジョン検討委員会」委員。国際基督教大(ICU)高校卒。早稲田大学在学中から音楽のプロデュースに関わり、中退。1989年、バグ・コーポレーションを設立。音楽プロデューサーとしてSION、村上“ポンタ”秀一のマネージメントや、東京エスムジカ、ピストルバルブ、Sweet Vacationなどの個性的なアーティストをプロデュースする一方、音楽ビジネスとITに関する実践的な研究を行っている。プロデュースのテーマは、新しいテクノロジーの活用、グローバル展開、異業種コラボレーション。2011年頃から著作活動を始め、国内外の音楽ビジネス状況の知見を活かし、音楽(コンテンツ)とITに関する提言を続けている。エンタメ系スタートアップを対象としたアワード「START ME UP AWARDS」をオーガナイズし、プロ作曲家育成「山口ゼミ」や「ニューミドルマン養成講座」を主宰するなど、次世代の育成にも精力的に取り組む、異業種横断型のプロデューサー。近著に『新時代ミュージックビジネス最終講義』(リットーミュージック)、『10人に小さな発見を与えれば、1000万人が動き出す。』(ローソンHMV)、『最先端の作曲法 コーライティングの教科書』(リットーミュージック・伊藤涼との共著)、『とびきり愛される女性になる。 恋愛ソングから学ぶ魔法のフレーズ』(ローソンHMV・伊藤涼との共著/「ラブソングラボ」名義)、『DAWで曲を作る時にプロが実際に行なっていること』(リットーミュージック)、『世界を変える80年代生まれの起業家 起業という選択』(スペースシャワーブックス)、『プロ直伝! 職業作曲家への道』(リットーミュージック)などがある。
Twitter https://twitter.com/yamabug
BLOG http://yamabug.blogspot.jp/
詳細プロフィール http://yamabug.blogspot.jp/2010/05/profile.html

伊藤涼 (いとう りょう)
音楽プロデューサー、ソングライター。「青春アミーゴ」などのミリオンセラーをプロデュース、後にフリーランスに。ソングライターとして、乃木坂46「走れ!Bicycle」、AKB48「ここにいたこと」などの作品がある。作詞アナリスト、フードミュージックプロデューサーとしても活躍。論理的で明晰な分析力に注目。著書に『作詞力 ウケル・イケテル・カシカケル』(リットーミュージック)、山口哲一との共著に『最先端の作曲法 コーライティングの教科書』(リットーミュージック)がある。
マゴノダイマデ・プロダクション http://www.mago-dai.com/
ブログ「伊藤涼の音楽」 http://ameblo.jp/magodai/
伊藤涼が主宰する作詞研究室リリック・ラボ 
https://www.facebook.com/lyric.laboratory/?ref=ts&fref=ts

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2016.08.31(水)
文=山口哲一、伊藤涼