スマホの向こうから聞こえてきたのは…
電波が悪いのか、電話越しの声は途切れ途切れで聞き取りづらかったそうです。
「……んめん! むぁじえ、ごめんむさぁい……んもぉれの……が……だったせいだからぁ」
「先輩? ちょっとよく聞こえないんですけ――」
“ガサゴソ”
スマホの向こうからビニール袋が擦れる音がしました。
「フウッ…パソッ…ウウッ…! パソッ…! ウッ……グウゥ…!」
苦しみ乱れる呼吸に合わせて、口に張り付くビニール袋の音。
今電話している相手は、本当にAさんなのだろうか。
恐ろしくなったEさんは、思わずスマホを切ってしまったそうです。
結局、Eさんはそのまま朝までファミレスで過ごし、午前7時ごろにしぶしぶホテルに戻って荷造りを済ませてフロントに行くと、「お連れ様は早くにチェックアウトされました」と受付で告げられました。
呆然としたまま着いた電車の駅。
『でね、当時地元の●●駅のホームで俺たちさ!』
行きは時間に追われてタクシーで直接取引先に行っていたため気がつきませんでしたが、出張先のホテルから一番近い最寄りの駅名は、あの夜Aさんが楽しそうに語っていた地元の駅名と同じだったそうです。
結局、大きな会社だったこともあり、Eさんが転職を決意するまでAさんと顔を合わせることはありませんでした。
Eさん曰く、2人組が黒いビニール袋を手に作業していたのは、A先輩が泊まっていた部屋だったような気がしてならないそうですが、それを確かめるつもりは毛頭ないそうです。
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