【WOMAN】
相手の恋心が可視化できることの
利点と厄難のドラマ

 携帯電話も持たない野暮ったくて時代ズレした女子を、大抵の男性は圏外認定すると思うが、大学生の西条はそんな東雲さんに恋してしまう。折しも彼女は恋というものを研究中で、交際は順調だ。だが、西条が自分を、恋する女性が発するキラキラした光を見ることができる能力の持ち主だと信じているゆえに、恋愛相関図は複雑に。

 優しくしてはくれるが、まったく光らない東雲さんに対し、自分は彼女にとって圏外なのだと傷つく西条。一方、西条も、男友達のように気の置けない超美形の女友達・北代を圏外と見なして傷つけている。北代は実は西条が好きなのだ。ところが、なぜか西条には北代が光って見えない。さらに、キラキラを背負って西条の前に現れたビッチ・宿木も登場。そうやって恋が可視化できるとして、すっと「あ、自分は圏内/圏外だ」とわかることは、果たして幸せへの道なのか。ラブコメに、そんな哲学的なテーマが見え隠れ。

『恋は光』(既刊1巻) 秋★枝

中学時代から恋する女性が発するキラキラした光を見ることができた西条。彼が「我視可視恋愛光線(がしかしれんあいこうせん)」と呼ぶそれは、かつて自分に向けられたことはないのが西条の密かなコンプレックス。恋を避けてきた彼が初めて恋に落ちてしまった相手は一向に光らず……。
集英社 600円
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Column

男と女のマンガ道

男と女の間には、深くて暗い川のごとき断絶が横たわる。その距離を埋めるための最高のツールが、実はマンガ。話題のマンガを読んで、互いを理解しよう!

2014.12.05(金)
文=三浦天紗子

CREA 2014年12月号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

贈り物バイブル2014

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おいしいものからとっておきの名品まで
贈り物バイブル2014

定価780円