発想の源となるワインとアートの共通点とは?

熟成中のワイン樽が並ぶワイナリーの蔵に展示されているケンデル・ギアーズの作品(奥)。(C) Alessandro Moggi
二人三脚で「サイトスペシフィック・アートプロジェクト」を立ち上げたマルコ氏と奥様のロレンツァさん。(C) Alessandro Moggi

 ワインと現代アートの融合。ワインもアートも同じ場所に留まることなく、それを創りだす人間が常に新しい試みに挑戦し、そして、進化すべきもの。その点でふたつは共通しているというのがマルコ氏の見解なのだ。そんなアイデアを発端に、地元アートギャラリーの協力を得て、奥様のロレンツァさんと共にマルコ氏がはじめた「サイトスペシフィック・アートプロジェクト」。これまでにイタリアのミケランジェロ・ピストレット、南アフリカのケンデル・ギアーズ、フランスのダニエル・ビュランをはじめとする13名のアーティストたちがそのコンセプトに賛同し、作品を提供している。

広大なブドウ畑に突如現れるアーティストたちの作品(ダニエル・ビュラン作)。(C) Alessandro Moggi
別の角度から。「サイトスペシフィック・アートプロジェクト」のひとつ。不思議な空間をつくるダニエル・ビュランのインスタレーション。(C) Alessio G. Guarino

 そして、2014年で15周年を迎える同プロジェクト。その重要な役割を担ったのは日本を代表する現代美術作家の杉本博司氏である。

 二人の出会いはマルコ氏が来日した2年前のこと。そして、最初の出会いから2年の歳月をかけ、今年10月、杉本氏の作品「Confession of Zero」が公開された。杉本氏が作品の展示場所として選んだのはワイナリーの敷地内にある18世紀の古い礼拝堂の奥だ。「このような大自然の中に自分の作品が展示されるのは嬉しい。作品を肌で感じてほしい」。杉本氏はカステッロ・ディ・アマのワインを片手にしながら満足そうに語った。事前の予約が必要だが、希望すれば一連のコレクションは見学することができる。

左:杉本氏(左)とマルコ氏(右)。最初の出会いは2年前。マルコ氏の強い要望で今回の作品展示が実現。(C) Alessandro Moggi
右:大自然の中の素晴らしい空間に作品が展示されていることに満足していると語る杉本氏。(C) Alessandro Moggi

Castello di Ama (カステッロ・ディ・アマ)
所在地 Località Ama 53013 Gaiole in Chianti Siena
電話番号 +39-0577-746031-746035
URL http://www.castellodiama.com/

村本幸枝 (むらもとゆきえ)
イタリアでは撮影コーディネートを、日本では東京・中央区で日伊文化交流サロン「アッティコ」を主宰。在伊歴20年ちょっと。現在、年の半分ずつをイタリアと日本で過ごしている。

日伊文化交流サロン「アッティコ」:http://www.attico.net/

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文=村本幸枝(アッティコ)