才能はダンスだけに留まらず……
その才能は、ダンスだけにとどまらない。幼い頃から絵を描くことが好きだった髙橋は、アートへの造詣も深く、2019年には少女漫画誌『ベツコミ』で「僕のスーパーラブストーリー!!~王子と男子は紙一重!?~」を発表。異例の少女漫画家デビューを果たした。さらに、自ら生み出したオリジナルキャラクターを主役に据えた『不思議なセロル展 created by 髙橋海人』を開催するなど、アーティストとしても独自の世界観を築いている。
そして、髙橋を語るうえで忘れてはならないのが、俳優としての活躍だ。いまや事務所を代表する演技派となったKing & Princeのふたりだが、ジュニア時代は意外にも映像作品への出演が少なかった。
大きな転機となったのが、オードリーの若林正恭を演じた『だが、情熱はある』(日本テレビ系)だろう。ダンスで培われた身体性が芝居にも生かされていることは、筆者もこれまでさまざまな媒体で書いてきたが、近年の出演作でいえば、映画『君の顔では泣けない』も素晴らしかった。
髙橋が演じたのは、高校時代に同級生の女子と心と身体が入れ替わったまま、30歳を迎えた坂平陸。つまり、髙橋が演じる陸の内面には、芳根京子演じる水村まなみがいるという設定だ。単に女性っぽさを演出するのではなく、芳根特有のセリフの言い回しや仕草、細かな間合いまでトレースしていて、そこにいたのは紛れもなく“まなみ”だった。細部まで観察して自分のなかに取り込むインプットの精度と、それを芝居として再現するアウトプットの巧みさという、役者・髙橋海人の魅力を、あらためて思い知らされた一作だ。
文=明日菜子
