日本は危機を不可視化している
斎藤 日本だけ見ていると、物価は上がってはいるけれど日々の暮らしは普通に成り立ってしまっていて、危機感を抱かなくなっていますよね。裏ではガソリン代の補助に、1リットル50円ほどもつぎ込まれているにもかかわらず。
こういう中東依存の危険性があらわになった瞬間に、本来だったら「再生可能エネルギーを増やす」「電気自動車を増やす」「給湯を電化する」といった話へとうまく転換されていくはずが、補助金で人工的に価格を下げることでエネルギー転換を妨げつつ、危機を不可視化しようとしている状況に、すごくフラストレーションを持っています。
大場 およそ社会主義者とは思えない発言ではありますが(笑)、まさに私も同じ意見です。生活者支援のためにガソリン代の補助をしている国は数多くありますが、価格が一定になるような補助をしている国は、ほぼ日本しかないんですよ。これはまさに社会主義的であるというか、価格統制、統制経済を真正面から行っている。
ただ、これをやってしまうと、今世界で起きていることさえ分からなくなる。生活は安定するのだけど、長期的に見てやるべきアクションを起こすきっかけさえなくなってしまう。ガソリン補助というのは中東にお金が流れていくだけで、何の未来の投資にもなりません。
斎藤 ガソリン代に補助を出すことを大場さんが「社会主義的」とおっしゃいましたけど、私が考えている社会主義というのは、どちらかというと「中長期的な目標に合わせて転換をする」ということ。市場は短期的な利潤を見てしまうので、やはりエネルギー転換のような中長期的なビジョンは、政府が計画し、誘導していく「誘導型市場経済」がますます重要になると考えています。
