南沙良さんの視線を受けていると誤魔化しが効かない、という気持ちに…

――その英理子を揺さぶるのが、メールセンターで働く派遣社員の斉藤るり(南沙良)です。

吉田 英理子さんにとってるりというのは最後の良心というか、自分に残された無自覚の良心を象徴している存在だと思うんですよね。そんな存在が、揺れる彼女の目の前にいてくれるからこそ、彼女自身、問い続けることができている。

――二人が向き合う場面には、息が詰まるような緊張があります。

吉田 英理子さんは自信家だけれど、負い目もあるものですから、なんとかそれを相手に気取られまいと自分を硬くするところがあるんです。それを超えて突き刺してくる南沙良さんの目力があり、彼女の視線を受けていると、ああ、この人の前では嘘をつけないな、誤魔化しが効かないという気持ちになる。だからこそ、表では冷静なんだけれども、内心すごく焦ったり、それをなんとか誤魔化そうとしている。あの英理子さんは、実際に彼女とお芝居で対峙してみて生まれた感情なのかなと思います。

――脚本は名嘉友美さん、松井周さん、あさか友恵さん、縦谷宗さんの4人のチームで書かれています。演じる側から見て、どうでしたか。

吉田 脚本家4人の皆さんとプロデューサー、監督が、本当に綿密に打ち合わせをして人物造形してくださっていたので、人によってキャラクターが違うということが一切ないんです。むしろ4人のブレインが寄ったことで物語が飛躍したり、発展したり、新しいアイデアが生まれたりする。本当に画期的で、いいシステムだなと思いましたし、プロデューサーや監督含め、全員で英理子を作りあげている実感があります。

――英理子に、救いは訪れるのでしょうか。

吉田 ネタバレになりますかね。何をもって救いとするかにもよると思います。その救いの正解は、見る方それぞれにあると思いますし。ただ、演じた私自身が感じる救いは、最終的にはあるのではないかなと思っています。

――本作はハラスメントを扱います。表現に慎重さが求められる時代でもあります。

吉田 普段、直接面と向かって言えないことを、お芝居を使って代弁する。それがエンタメのできることの一つだと思っていて。でもこのご時世、表現できないことも増えてきていることに対しては、悔しいなという思いもあります。一方で、弱い者の声がきちんと届くようになったというのは喜ばしいことだし、それは守られるべきものなので。あとは、寛容さとバランスかなと思います。これはフィクションなんだという前提で見ていただいて、もし何かあれば、平和的解決のための議論が交わされるきっかけになったらいいなと思います。

 後篇では、英理子と自分が重なる場所、そしてキャリアの役について考えていることを聞きます。

吉田羊(よしだ・よう)

2月3日生まれ、福岡県出身。1997年より舞台を中心に活動をスタート。2012年に連続テレビ小説『純と愛』(NHK)、2014年に『HERO』(フジテレビ)に出演し脚光を浴びる。以降、舞台、ドラマ、映画と多方面で活躍。今年の作品に映画『白鳥とコウモリ』『さとこはいつも』『わたしの知らない子どもたち』など。Netflix『俺のこと、なんか言ってた?』は10月22日より配信予定。

ドラマ10『会社員』

放送予定: 2026年10月13日スタート 毎週(火)夜 10:00~10:45(全8回)
(再放送) 10 月 16 日~ 毎週(金)午前0:35~1:20(木曜深夜)
NHK ONE で同時・見逃し配信予定
作:名嘉友美、松井周、あさか友恵、縦谷宗(WDR プロジェクト)
音楽:yuma yamaguchi
出演:吉田羊、南沙良、加藤清史郎、小久保寿人、前川泰之、田中直樹、尾美としのり ほか
制作統括:上田明子、石村将太
演出:保坂慶太、大嶋慧介、西尾友希

衣装クレジット

衣装 ヌメロ ヴェントゥーノ(IZA)、ジュエリー Hirotaka(Hirotaka 表参道ヒルズ)

IZA
フリーダイヤル 0120-135-015

Hirotaka 表参道ヒルズ
電話番号 03-3478-1830

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