「7日目の月」が沈んだ夏の夜空で天体観測を

天体観測は楽し。写真はモロッコの新月の夜の砂漠の夜空。iPadに入っている天体観測アプリを使いながら夜空を見上げます。

 なぜ七夕はいつも曇りか雨なのか、という謎が解けたのではないでしょうか。その昔、七夕は旧暦7月7日に豊作を祈る伝統行事だったとも言われます。梅雨の明けた夏の夜空には、まるで乳を流したようなミルキーウェイ(天の川)が見えます。そしてそのミルキーウェイを挟んで、織姫星(こと座のベガ)と彦星(わし座のアルタイル)が輝きます。上弦に近い7日目の月は既に沈み、夜空には一年に一度のふたりのランデブーを見ることができるはずです。できれば8月2日の夜は、星がよく見える場所に出かけ、夜空を見上げてみましょう。

 暦というのは私たちの生活になくてはならないものです。暦がなかったら一年の始まりもなければ、お誕生日もありません。暦とともに私たちは季節の移り変わりを感じ、自分の生活を律し、心を整えてきたのではないでしょうか。そもそも「暦」とは、太陽と月の行き来を読むことを意味しています。私たちは普段の生活で、太陽の運行を基にした新暦を使っています。最近では、月の満ち欠けを記したカレンダーや、日本古来の旧暦を記した暦が、密かなブームになっています。太陽の暦=新暦と月の暦=旧暦を理解して、上手に使い分けることができたら、あなたの生活はもっと実り多く、楽しいものになるでしょう。その手始めとして、七夕はぜひ旧暦で祝ってみてください。五色の短冊に、あなたの願いを書くのもお忘れなく。

「月」を身近に感じながら、日々の暮らしを豊かに過ごすヒントを紹介してきたこのコラムが始まってちょうど1年。今回の七夕のお話で連載はおしまいです。夜空に月を探すとき、日常の意識から、どこか別の次元へとワープするような気持ちになります。そしてそれは特別な瞬間。ただそこに、視線の先に月がある……。それだけのことなのに、心に灯が灯り、喜びが芽生えるのです。どうぞこれからも折に触れ、月を見上げてください。きっと大昔から、そしてこれからも、月は私たち女性の“素敵なお友だち”なのですから。

岡本翔子 (おかもと しょうこ)
占星術家。ロンドンにある英国占星術協会で心理学をベースにした占星術を学ぶ。CREAでは創刊号から星占いを担当。月に関する著作・翻訳も多く、月の満ち欠けを記した手帳『MOON BOOK』は10年続く静かなロングセラーに。CREA WEBでは岡本翔子の日めくりムーンカレンダーを好評連載中。
公式サイト http://okamotoshoko.com
公式ブログ http://ameblo.jp/okamotoshoko
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★毎年好評の月の満ち欠けを記した手帳、『MOON BOOK 2015』(KADOKAWAメディアファクトリー)が9月19日に発売予定。

 

Column

岡本翔子の「月」にまつわる暮らしの手帖

「岡本翔子の日めくりMoon Calendar」を連載中の岡本翔子さん。このコラムでは毎月1日に、「月」を身近に感じながら、季節の移ろいをこまやかに感じ取り、日々の暮らしを豊かに営むためのヒントをご紹介します。

2014.08.01(金)
文=岡本翔子
写真(星空)=橋本篤