行っておきたい「ゴーギャン博物館」
島には7つの村があり、中心地となっているのはアツオナ。人口2371人(2022年)のほとんどがアツオナに集中しています。
![一番の中心地のアツオナの村。移動マーケットやよろずやさんもあります。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/8/0/1280wm/img_8000bc557fe1caa77d272a88d3a9179510036428.jpg)
ヒバオア島を訪れたら、行っておきたいゴーギャン博物館があるのも、アツオナ。楽園タヒチを描いたレプリカ作品が一堂に会しています。
たとえば1891年に描かれたオルセー美術館蔵の『タヒチの女(浜辺にて)』、実は1892年に服装こそ違えどそっくりな構図の作品を描いていたのですね。そんなレプリカに加え、ゴーギャンの生涯を詳細に記した年表や変色した作品の販売証明書、画家仲間にあてた手紙なども展示されています。
![左が1892年作。タイトルは『Parau api (Quelles nouvelles?)』。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/5/c/1280wm/img_5c3b67d771c6a6a24b4258394815b9817564764.jpg)
博物館の敷地内には“快楽の館”という名の自宅も再現されています。その木瓦の高床式住居の一角には創作活動をしていたアトリエスペースが。描きかけのキャンバスと空き缶に挿した数本の絵筆、しぼり出した状態の絵の具などが置かれています。これも本人が使ったものではないですが、作品や資料を見ているうちに、一人の人間としてのゴーギャンの輪郭が見えてくるようです。
![快楽の館を再現した建物内。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/3/6/1280wm/img_36e0a1d8d77297ddae2068f39e72cdd48158753.jpg)
![ゴーギャンの創作風景を想像してしまいます。本人が使っていた絵の具ではないですが。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/7/1/1280wm/img_7132d9a5774f2c257652143f697a2afe11145502.jpg)
ゴーギャンの手記「ノア・ノア タヒチへの航海」にはこんな一文があるそうです。
「単純に物事を考えるようになってきた。隣人には憎しみの感情ではなく愛情を感じるようになっている。動物としても人間としても、自由に生きる喜びはすべて私のものとなった。人が作ったものから離れ、真実である自然へと身を置いている」
ヒバオア島での日々が、来島時に困難を抱えていたゴーギャンを変えていったことが伝わってきます。
2025.01.11(土)
文・撮影=古関千恵子