この記事の連載
- 杉原愛子インタビュー・前篇
- 杉原愛子インタビュー・後篇
丈や裾のデザインには苦労しました
――開発には時間がかかりましたか?
昨年の6月頃に(レオタード専門ブランド)のオリンストーンさんにお話を持ちかけて、9月に出場した全日本シニア体操競技選手権ではお披露目ができたので、2、3カ月で完成しました。割と早かったですね。
――デザインを考える上で、大変だったことやこだわった点は?
大変だったのは、「脚の付け根から2センチ以下の長さでなければならない」など、規定を守りながらも、下着やナプキンが見えないようにすること。女子選手は開脚も多いですし、脚を上げればさらに食い込んでしまうので、丈や裾のデザインには苦労しました。
それから、スパッツだと脚が短く見えるのではという意見もあったので、ウエスト部分に切り返しのようなデザインを入れることで、脚が長く見えるように工夫しています。素材も、普段通りの動きができるように、しっかり伸縮性のあるものを選んでいます。
――実際に着た方から、どんな感想が寄せられていますか?
保護者の方からは、「レオタードを着せることに抵抗があって、体操をやめさせようと思っていたけれど、これだったら安心して着せられます。アイタードを作ってくれてありがとうございます」と感謝のメッセージをいただきました。
他にも、トランポリンを習っている小学生から、「トランポリンは大好きなのに、レオタードを着たくないから大会に出たくなかった。この間、アイタードを着て初めて試合に出場しました!」という声もいただいて。役に立てていることが本当に嬉しいですね。
実は私自身、5月のNHK杯と生理が重なっていたんですが、アイタードを着ていたので、以前感じていたような「下着が見えていたらどうしよう」「もしもナプキンがはみ出てしまっていたら、しかもそんな瞬間を盗撮されていたら……」などの不安やストレスを感じることなく、競技に集中することができました。
レオタードを否定しているわけではなくて、新しい選択肢のひとつとして、トップクラスの選手の方たちにも認知度を広げていきたいです。
2024.08.10(土)
文=河西みのり
撮影=佐藤 亘