チーズ工房でできたてのリコッタを
ペコリーノやモッツァレッラ、カッショカバッロなど、チーズの主な原材料は乳脂肪分。それに対してリコッタは、乳から乳脂肪分やカゼインを取り除いた後の水溶液・ホエー(乳清)を再加熱して作るチーズのこと。イタリア語で「ri(再び)・cotta(煮る)」、再加熱したという意味があります。
イタリアには、牛、羊、ヤギのホエーから作るリコッタがありますが、シチリアでは羊が一般的。牛と比べてややクセのある風味ですが、新鮮なリコッタは、臭みもなく、むしろコクがあり、本当に美味しい羊のリコッタを経験すると、牛では物足りなくなるほどです。
右:型に入れ、水分を完全に切って商品化。
さっぱりとしながらコクがあるリコッタは、パスタからドルチェまで、幅広く使われます。シチリアの名物ともいえるカンノーロやカッサータ・シチリアーナなどの伝統菓子には、この羊のリコッタにお砂糖を加えて作る「リコッタ・クリーム」が欠かせません。
伝統菓子に限らずシチリアのお菓子には、生クリームよりカスタードクリームより、リコッタ・クリームが非常に多く使われます(少々飽きもしますが……笑)。それだけに、よりクオリティの高いリコッタを使用してるかどうかが、美味しさの決め手にもなったりもします。
もちろん、そのまま食べても美味。春の羊のリコッタの美味しさは、ここでしか体験できない味のひとつです。
岩田デノーラ砂和子
フリーライター・コーディネーター・イタリア語通訳。2001年より、イタリア在住。メディアコーディネートおよび女性誌、WEBに執筆するほか、イタリア関連書籍多数。近著は人気シリーズ第3弾「街歩きのイタリア語」。
ブログ:「NEWローマの平日シチリア便り」最近加わったワンコとイタリア暮らしネタが話題!
ホームページ:http://www.buonprogetto.com/
文・撮影=岩田デノーラ砂和子