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カキたっぷりのカキオコを味わい、世界最古の庶民の学校・旧閑谷学校へ

 県内屈指のカキの水揚げで知られる日生町の名物、カキオコ。養殖がスタートした昭和40年代に、売り物にならない小粒なタイプや傷のついたカキをお好み焼きに入れて食べたのが始まりとされています。

 カキオコは、生地にたっぷりの千切りキャベツとカキをのせて鉄板で焼き上げます。表面はこんがり、中はフワッ&モチッ&ジュワ~。ミネラルたっぷりのカキの旨みとキャベツの甘みが広がり、広島風や大阪風のお好み焼きと比べると、強い旨みが印象的。生地の口当たりや焼き方、ソースなどそれぞれの店で違いがあるので、食べ歩きするのもおすすめです。

 例年11月上旬~4月上旬がカキの解禁なので、それ以外は冷凍のカキを使用。冷凍技術の発達で冷凍カキでもクオリティが高く、通年美味しく楽しめます。

お好み焼オレンジハウス

所在地 岡山県備前市日生町日生241-103
電話番号 0869-72-0914
営業時間 11:00~15:00、16:00~20:00 L.O.
定休日 木曜

 閑谷学校は江戸時代前期、岡山藩主の池田光政によって開設された、日本最古の庶民のための学校。武士の子弟だけでなく、庶民の子弟にも門戸を開いた公立学校は、身分制度の厳しい時代においてまさに慧眼。未来を見通した証であり、岡山が優れた人材を輩出する源になったと言えるでしょう。

 その歴史はもちろん、建物と庭園の美しさは創建から300年以上たった今でもキープされ、国宝に指定されている講堂をはじめ、正門や樹齢100年を超える楷(かい)の木、孔子廟、全長765メートルにも及ぶかまぼこ型の石塀など、見どころがたくさんあります。

 最大の見どころである講堂は、明治以前の学校建築で唯一国宝に指定された建造物。しころ葺きの屋根、丸柱、高床式であるのは、京都御所の紫宸殿(ししんでん)と同じなのだそうです。

 また、儒教を学ぶ閑谷学校の敷地の一番高い位置にある孔子廟も見逃せません。創健者である池田光政公を祀った閑谷神社よりも、一段高い場所に造られている孔子廟。2,500年以上前に中国の魯国で生まれた孔子の語った言葉や弟子との問答をまとめた『論語』は儒教の経典と言われていますが、この美しい学校で、往時の学生はみな『論語』を教科書に「勉学の心がけや礼節を重んじる態度」を学び、よりよい生き方を模索したのでしょう。

特別史跡旧閑谷学校

所在地 岡山県備前市閑谷784
電話番号 0869-67-1436【史跡受付】
http://shizutani.jp/

2023.10.07(土)
文=CREA編集部
撮影=榎本麻美