ーー実は、「女芸人の今」で加納さんにインタビューを申し込んだとき、引き受けてくださったのが意外でした。

西澤 第1回が山田邦子さん、第2回がモリマンのホルスタイン・モリ夫さんで、第3回目が加納さんだったんですよね。

加納 山田邦子さん、モリ夫さん、で、私。「なんで?」っていう(笑)。

西澤 振れ幅がすごすぎますよね。でも、私としては、それくらい加納さんに出てほしくて。

ーー『女芸人の壁』の対談にもご登場いただくなど、ご協力いただいた真意は?

加納 「女芸人の今」って、女芸人の歴史という文脈の連載でもあったじゃないですか。各世代の女芸人たちがそれぞれの立場で何を思ってたかというのもおもしろかったし、「こんなことあったんや」っていう年表にもなっていて、すごく読み物として面白かったんです。ただ、やっぱり通しで読むと、私と(納言)幸は薄いですね。道連れにしますけど。

 

西澤 巻き込みましたね(笑)。

加納 巻き込みました(笑)。私と幸のインタビューは、ぬくぬくと劇場で育ったやつのインタビューやったので。女芸人がそうやって世に出てこれるようになったこと自体が、前進なのかもしれないですけど。

 ただ、メチャクチャおこがましい言い方をすると、「私、要る」と思いました。

西澤 このラインナップに。

加納 そう。なんでそう思ったかというと、私が一番他の女芸人に興味あるのかも、と思ったんですよ。横のつながりみたいなところを意識して話している人があまりいなかった。だから、私にできることがあるとしたらそれなんじゃないかと思って、引き受けたみたいなところもあります。

「同業者は嫌い」と公言していた

西澤 この本の中でも、加納さんのインタビューや対談は異質で。女性芸人に対する愛を持ちながら、女性芸人全体が置かれている状況みたいなものを俯瞰して見ている。かつ、「じゃあこれからこういうふうにしたほうがいいんじゃないか」とか、「自分はこういうふうにしていきたいな」っていう、未来の話をたくさん語っていたんですよね。

2023.02.24(金)
文=「文春オンライン」編集部
撮影=末永裕樹/文藝春秋