いよいよ葡萄の収穫です
そんな美しいフィレンツェの丘にあるワイナリー「ラ・コロンバイア」へ、葡萄収穫の見学にお邪魔しました。
右:人の手でひとつひとつ丁寧に収穫されます
今年は、例年になく春によく雨が降り、夏が来るのが遅かったので、出来が心配されましたが、見事に実った葡萄たち。大切に育てた葡萄を、ここでは人の手でひとつひとつ収穫します。その熟練した手つきは素早く、かつ、葡萄を傷つけないようそっと動いており、そうやって大切に摘み取られていくのを見ていると、人が手をかけてつくるものへの温かい思いが感じられ、なんだか胸がいっぱいになりました。
右:摘み取られ、圧縮された葡萄が最初に入る樽の中。ここで葡萄はワインになっていきます
さて、摘み取られた葡萄は早速、工房に運ばれ、枝を取り除き、つぶして、12日間寝かせ、発酵を待ちます。不純物を取り除いたらステンレスの樽に移し、一定の温度を保ちながら、約1年発酵させます。その後、木の樽に移し、ここで熟成を待ちます。熟成の期間は葡萄品種によって異なりますが、さらに半年~1年以上寝かせます。
それは長い道のり。私が収穫を見守った葡萄たちがワインとなって味わうことができるのは再来年以降ということで、待ち遠しい限りです。
右:試飲させて頂いたワイン、赤「Terre del Cotto」、白「Terre di Bagnolo」
再来年のワインはのんびり待つとして、こちらのワイナリーのワインを試飲させていただきました。赤はトスカーナ原産種の葡萄サンジョベーゼのワイン。爽やかな酸味とタンニンに、木苺のようなフルーティーさも感じられ、とても飲みやすくおいしかったです。このワインを持ってすぐに楽しい食卓を囲みたい、そんなイメージができるような味わい。白はトレビーノやシャルドネの葡萄種を合わせたもので、爽やかな酸味とまろやかな口当たりが好印象なおいしさでした。
最後にはおいしいワインも堪能して、大満足の葡萄収穫見学。太陽降り注ぐ実りの大地に、働く人の姿、その手のやさしさがとても印象に残りました。人の手をかけて、温かな思いをかけて、大切につくられるもののおいしさを味わい、そういったものがこれからも伝わっていく世の中であって欲しいと思いました。
なお、収穫の時期を経て、例年11月上旬は「カンティーナ・アペルト」として、どのワイナリーも一般公開しています。お気に入りのワイナリーがあったら出かけてみるチャンスです。
【見学に行ったワイナリー】
Fattoria La Colombaia
住所 Via Imprunetana per Tavarnuzze, 50
電話番号 055-2025041
ホームページ www.villadibagnolo.it
藤原亮子 (ふじはら りょうこ)
イタリア・フィレンツェ在住フォトグラファー&ライター。東京でカメラマンとして活動後、'09年、イタリアの明るい太陽(と、おいしい食べ物)に魅せられて渡伊。現在、取材・撮影・執筆活動をしつつ、イタリアの伸びやかな景色をテーマに写真作品も制作中。イタリアでの日々をつづったフェイスブック www.facebook.com/chococogogo