歴史の重みを感じる伝統的な建造物からトレンドの観光スポットまで、そぞろ歩きで新旧のマリアージュを発見できるのも横浜の魅力のひとつ。
今回は、横浜の名所として親しまれている、2つのランドマークをはしご旅。
自然景観が圧巻の日本庭園で、別次元へタイムスリップ
ド定番の観光スポットかもしれませんが、「三溪園」の自然景観の美しさはやっぱり見逃せません。
国の名勝にも指定されている三溪園は、実業家で茶人でもあった原 三溪によって明治時代末から大正にかけて造園されました。丘陵と谷で形成される起伏に富んだ地形に、京都や鎌倉などから移築された古建築が点在し、季節の花木と調和した美を楽しめる、散策型の日本庭園です。
東京ドーム4個分ほどの広大な園内には、シンボルの三重塔など国の重要文化財10棟を含む、歴史的建造物17棟を配置。日本の伝統を体感できる貴重なスポットです。
園内は内苑と外苑に分かれていて、外苑の正門から入園すると、水辺の景色がぶわーっと広がります。大池の周りには蓮池や睡蓮池もあり、藤棚にあるベンチに座ってのんびり全景を眺めるのも風流です。
内苑の入り口である御門をくぐり、少し歩くと令和の大修理を終えたばかりの「臨春閣」がお目見え。水辺と建物の景観が楽しめる臨春閣は、紀州徳川家の別荘といわれ、内部(通常は非公開)は数寄屋の意匠を取り入れた書院造りで、国の重要文化財に指定されています。
自然が豊かな三溪園は、四季折々の風景も見どころです。この日は、赤や黄色に染まった紅葉が楽しめ、歴史的な建物に彩りを添えていました。
なかでも「聴秋閣」(国の重要文化財)は、三溪園を代表する紅葉スポット。徳川家光が二条城に1623年に建てたもので、のちに春日局が賜り、春日局の孫の稲葉正則の江戸屋敷に移したと伝わります。
移築前は「三笠閣」と呼ばれていたそうですが、原 三溪は周辺に大きな石を配し、渓谷としてモミジなどを植栽し、名も聴秋閣と改めたそう。まさに秋に紅葉を楽しむ風情を生み出しています。
2022.12.22(木)
文=大嶋律子