越前漆器、和紙、刃物……。日本のすごい技がここに集結!

 日本各地には、長い伝統を誇るすごいモノづくりが受け継がれています。しかも、それが小さな地域に密集しているのが、福井県の越前鯖江エリア。半径約10kmの地域に、世界的に有名な眼鏡をはじめ、越前漆器、越前和紙、越前焼などの産地が集まっていて、しかもその技術の高さは、日本屈指です。

 そんな福井のモノづくりの素晴らしさを広く知ってもらいたいと、毎年秋に開催されているのが、体験型マーケット「RENEW」。このエリアにある工房が一般に公開される、ユニークなイベントです。

 開催エリアは、1) 越前漆器&眼鏡、2) 越前和紙、3) 越前打刃物&越前箪笥、4) 眼鏡&繊維、5) 越前焼の5つ。まずは、越前漆器エリアを訪ねてみました。

 総合案内所がおかれている「うるしの里会館」の周辺では、漆器を中心に22の工房がイベントに参加。和の美意識を象徴する器から、現代の暮らしに寄り添うアイテムまで手がけている大好きな専門店「漆琳堂」も参加していて、小さな店内にはお客さんがいっぱい……。大人気です。

 漆器といえば和食に使う器、のイメージですが、実はそこには木工や塗装など、さまざまま技術が凝縮していて、それらを活用したユニークな逸品も。「土直漆器」では漆塗りのアンブレラボトルを製作していたり、木地づくりを手がける「Hacoa」には、なんと木製キーボードも。

 そして、今回訪ねて印象的だったのが、モノづくりの現場の雰囲気を実際に感じられる「ろくろ舎」。

 丸物木地師・酒井義夫さんの工房で、“オンリー椀” のカスタムオーダーが可能です。

 さて、体験型マーケット「RENEW」では、昔ながらの福井の食文化を楽しめるのも魅力となっています。

 「うるしの里会館」内にある喫茶「椀椀」では、地元のお母さんたちがつくる、この地で採れた食材を使ったランチメニューが人気。

 とろろごはんやグリーンカレーなどの定番に加えて、日替わり・週替わりメニューも用意。さらに楽しいのが、ブッフェスタイルで自由に郷土の美味を味わえるところ。

 この土地で古くから受け継がれたきた在来種でつくられる福井名物のおそばも、もちろん味わうことができます。

2022.11.14(月)
文=矢野詔次郎
写真=上田順子