キーワードは「塩」。小豆島の名産品たち

 小豆島には“日本三大〇〇”や“日本一”を冠する名産品が、いくつもあります。その名産品の多くに関わっているのが、塩。

 小豆島では弥生時代から塩が作られ、皇室や神社などの塩荘園として発展しました。

 けれど製塩産業も江戸時代に入ると、生産過剰に陥ってしまいます。そこで小豆島の人々は次なる一手を繰り出します。それには幸運にもいくつかの条件が重なったことが背景にあります。

 瀬戸内海の海上交通の要衝だった小豆島。大阪へ塩を出荷していた船頭さんが醤油の醸造技術を島に持ち帰りました(諸説あり)。原料の小麦や大豆を仕入れることは、海上交通のルート上だった小豆島では融通がきき、塩はそれこそ余るくらいありました。

 さらに平均気温15度前後、降水量は年平均1100ミリ前後。そんな温暖少雨な気候が、酵母菌や乳酸菌などが育つのに適した環境だったのです。

 醤油醸造業が企業化し、やがて醤油の“日本四大名産地”と呼ばれるように。また、太平洋戦争の頃には醤油の原材料の不足や食糧難が深刻に。そこで芋のツルを炊いてみたのが、醤油を活かした佃煮産業のはじまりになりました。

 島の南東部にある「醤(ひしお)の郷」へ行くと、あたりには香ばしい匂いが。小川に沿った小道などに黒い板壁の家並みが続いています。最盛期には400軒もの醸造所を数え、今でも20軒ほどが稼働しています。

 小豆島の醤油の特徴は、“木桶仕込み”。醤油全体の生産量の1%ほどしかありませんが、その最大産地なのです。日本全国の木桶のうち、1/3が小豆島にあるとか!

2022.10.22(土)
文・撮影=古関千恵子