監督が「良い」と言ったら良いし、「もう一回」と言ったらもう一回。

――台本に関連して伺いたいのは、演技のアプローチの部分です。『半分、青い』の際は左耳に耳栓をして生活し、『マイ・ブロークン・マリコ』ではシイノが履くドクターマーチンを11カ月かけて履きつぶし、喫煙者にもなって役づくりされた。日常生活から役に近づけていくスタイルが多いのでしょうか。

 ものによってはそうですね。少しでも役に近づける方法は何かを常に考えているので、日常生活の中に採り入れられることはやりたいなと思っています。

――というのも、多忙な中だとなかなか役作りに時間を割けない瞬間も多いのではないか? と感じていて。そうなると、台本の読み込み・読み解きが一層重要になる。そこで、永野さんの台本の読み方を伺った次第です。

 とにかく何回も何回も台本を読みますね。それは単純に「好き」も大きいと思います。疲れていても「大変だな」と思うことはなくて、読めます。

 特にドラマなどだと、1話から10話くらいまであるから物語の繋がりが複雑だし、重要にもなってきますし。映画でも、1回目読むとのと2回目読むのではまた違う発見がありますし、マネージャーさんや監督の視点を教えてもらうこともあります。それぞれ見ているポイントが違っていて「ここはこう思う」という話を聞くのが面白くて。

――なるほど! 周囲の方の解釈も柔軟に採り入れていくのですね。ちなみに、ドラマの台本だと最近は“差し込み(撮影日などに追加されること。差込台本)”も減ってきているのでしょうか。

 チームによって違うかと思いますが、決定稿が出た後でも「これってこういう方がいいのかな」をみんなで提案しながら進めるチームだと差し込みが出ることは変わらずあります。

――とすると、なおのこと読解力が求められますね……。現場の居方についてもう少し伺いたいのですが、『マイ・ブロークン・マリコ』には演者が相当入り込んでいないと出ないであろう表情が詰まっていました。永野さんはご自身の演技を現場でモニターチェック等はされていたのでしょうか。

 大体、現場に入って最初のシーンはカットがかかった後にモニターチェックはします。それは、自分の演技を見るというよりも「こういう色味で進むんだな」や「こういう空気感だな」を確認するためです。それ以外は基本的に観ないですね。モニターを観て変に修正していくのが得意ではなくて、監督が「良い」と言ったら良いし、「もう一回」と言ったらもう一回やりますし、全部お任せスタイルかもしれません。

2022.09.30(金)
文=SYO
撮影=釜谷洋史