暑い日が続き、なんだか体が疲れ気味。そんな時にぴったりの、体にやさしい「腸活レシピ」を江戸料理・文化研究家の車 浮代さんが提案し、文教大学健康栄養学部教授の笠岡誠一先生に監修していただきました。

「暑い夏は,汗として流れ出た水分を補う必要があります。摂取した水のほとんどは小腸で吸収されますが、一部は大腸に流れていきます。一度に大量の水を飲めば、小腸で吸収できずに大腸に流れ込む水も多くなります。お腹がゴロゴロする原因です。

 お腹の調子が悪くなれば,せっかく食べた栄養素も適切に吸収されず、体が弱ってしまいます。腸の調子を整えること、『腸活』は夏バテ防止に役立つのです。食事からも水分を摂取し、また、腸内細菌の栄養源になる食物繊維もしっかりと摂取して元気に暑い夏を乗り切りましょう」(笠岡先生)

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薬味が嬉しい「五色とろろ汁」

 とろろで精がつくことは平安時代から知られており、江戸時代には静岡の「丸子(鞠子)宿」の名物で、険しい峠越えに備えて提供されていました。歌川広重の『東海道五十三次』に描かれた「丁子屋」は、現在も同じ場所でとろろ汁を提供しています。

 また、日々の食事で五色(赤・白・黄・緑・黒)を食べれば元気になれる、という考えは、古代中国の自然哲学「五行思想」による教えの中の一つです。江戸時代の武家社会にも伝わるこの教えを、とろろ汁のトッピングに生かしてみました。

「とろろ」はそうめんと同じように喉ごしが良く、冷たい状態で食べられます。食物繊維やレジスタントスターチも豊富。白飯の代わりに麦飯にすれば、さらに食物繊維を増やせます。まさに夏の「和・腸活」メニューです。

 卵、エビも入っているので、栄養バランスもバッチリです。かつお出汁には沢山のヒスチジン(アミノ酸)が含まれます。ヒスチジンは肥満の防止効果が期待されています。

●材料(1人前)

・麦飯(白飯でも可) 1杯分
・山芋 80g
・出汁 50ml
・みりん 大さじ1
・白味噌 大さじ1/2
・醤油 大さじ1/2
・卵 1個

<トッピング>
・長ねぎ 3cm幅
・焼き海苔(8切) 2枚
・すりごま 小さじ1/2
・干しエビ 小さじ1/2
・青じそ 2枚

●作り方

(1)鍋に出汁、酒、みりん、醤油を入れて、一煮立ちさせて冷ましておく。

(2)卵は黄身と白身に分け、白身だけ溶きほぐす。山芋の皮をむいてすり下ろした後、すり鉢に入れて1と白味噌、卵の白身を少しずつ加えながら、ふわふわになるまですりこぎ(またはフードプロセッサー)でよく混ぜる。

(3)長ねぎはみじん切りに、焼き海苔は揉んで細かくし、青じそは千切りに。

(4)茶碗に少量の麦飯を盛り、2をかけ、中央をくぼませ、黄身を乗せる。5種のトッピングと一緒に召し上がれ。

[レシピ提案・調理]
車 浮代(くるま・うきよ)

時代小説家/江戸料理・文化研究家。江戸時代の料理の研究、再現(1200種類以上)と、江戸文化に関する講演、NHK『チコちゃんに叱られる!』『美の壷』『知恵泉』等のTV出演や、TBSラジオのレギュラーも。著書に『免疫力を高める最強の浅漬け』(マキノ出版)『1日1杯の味噌汁が体を守る』(日経プレミアシリーズ)など多数。
小説『蔦重の教え』はベストセラーに。西武鉄道「52席の至福 江戸料理トレイン」料理監修。新刊『江戸っ子の食養生』(ワニブックスPLUS新書)と『発酵食品でつくるシンプル養生レシピ』(東京書籍)が好評発売中。
http://kurumaukiyo.com/


[栄養管理・監修]
笠岡誠一(かさおか・せいいち)

1967年、広島県生まれ。文教大学健康栄養学部教授。管理栄養士。食品栄養学修士(東京農業大学)。
博士(農学)(愛媛大学)。山之内製薬(現・アステラス製薬)健康科学研究所研究員、文教大学専任講師、アメリカ国立衛生研究所客員研究員を経て現職。専門分野は栄養生理学、食品化学。
レジスタントスターチに早くから注目し、レジスタントスターチを増やした「ハイレジ食」の開発なども行う。テレビや雑誌などメディアでの解説も多い。著書に『炭水化物は冷まして食べなさい』(アスコム社)など。
https://www.kasaoka.net/