この場所でしかできない極上の料理が日々生まれていく

 さあ、いよいよ食事の時間だ。ロビースペースの扉が開き、レストランに通される。

 目にするのは、機能的でピカピカに磨かれた、広くてオープンな厨房、その窓の向こうにも森が広がり、それがいつ何時もシェフにインスピレーションを与えているのが分かる。

 館内はどこも地元・富山の作家の作品が使われているが、もちろんここでも。shimoo designのテーブルや木工作品、釋永岳(しゃくなががく)の器……工業製品にはない、それぞれがもつ表情のゆらぎが外の自然と見事にマッチする。

 日本でも有数の食材王国・富山で、それぞれをいったん見直し、最上の状態で提供する、この環境でしか作ることができない料理が、ここで日々生まれている。

シェフの想いで満たされた新しい食の場の発信

 コースの構成も楽しく、カラフルなメレンゲのアミューズを頬張れば、「レヴォ鶏」のレバーのムースが。

 まるでパスタのようにイカと絡んでいるのは氷見のマコモダケだ。

 薪の香りのニュアンスも随所にちりばめられ、山深い場所にいることを実感。

 近くには畑もある。「レヴォ ファーム」と名付けられた、ゼロからシェフとスタッフたちで作った畑だ。

 近くのおばあちゃんから種を譲り受けたという伝統野菜の赤カブは、丁寧に火を入れることで驚くほど甘くなり、シェフの深い愛情を感じる。

 この場所には、存在するものすべてに愛情とストーリーがある。飲食業が危機に立たされた昨今、必ずなにかヒントをくれる場所であるに違いない。

Pairing

様々なお酒をラインナップした“アルコールペアリング”。スパークリングカクテルから始まり富山県産のワイン、日本酒、クラフトビールも登場。13,000円。ノンアルコールのペアリングもある。

◆L'évo(レヴォ)

所在地 富山県南砺市利賀村大勘場田島100番地
電話番号 0763-68-2115
営業時間 12:00~・12:30~、18:00・19:00~ 各一斉スタート
定休日 水曜
客室数 3棟
料金(1名) 48,400円~(1室2名利用、2食付き)
https://levo.toyama.jp/

文=CREA編集部
撮影=橋本 篤(オーベルジュ玄珠、villa della pace)、長谷川 潤(L'évo)