素材がそのまま主役に。シンプルに、品格をまとう

◆絲 tabane

 100本の純金の糸の束。「ただそれだけ」の存在感と揺らぎが美しいアクセサリー。身につけると、驚くほど軽い。

 明治30年創業の「寺島保太良商店」は、日常に親しむ綿や絹の糸でもミシン糸でもない、高級で特別な糸、「金銀糸」を商ってきた。

 もとは皇族や貴族の装束のために使われた、贅沢な純金や純銀の糸。豪奢な西陣織とともに産業が発展したが、呉服離れの現代において需要は激減。

 そんな金銀糸の存在をアピールし、世界中で使ってもらえるきっかけになればと、「絲 タバネ」が生まれた。

 あまり知られていないが、金糸は和紙でできている。そして、和紙に薄い金箔を貼る工程で接着剤の役割をするのが漆。

 これが、束ねた純金糸をスマートに支える金具に、黒・白・赤・青の漆塗りを施した理由だという。

 真鍮の金具は錺金具の職人さんに、漆は漆屋さんに。絲は、京都が誇る伝統工芸の「技を束ねた」アクセサリーでもあるのだ。

絲 tabane

http://tabane-kyoto.com/
※ホームページのオンラインショップで販売。

Text=Maki Takahashi、Mako Yamato
Photographs=Atsushi Hashimoto